第96話「むさ苦しい光景」 ページ46
「Oh,Noーだズラ､おめえもう駄目ズラ｡逆にお仕置きされちまったズラ｡波紋を流されてしまったズラ」
「何を馬鹿な…!?Oh!Noー!」
ベックの身体は溶けて消えた｡
ジョセフがリサリサの強さに感心する｡
本当に強い｡
「ところでジョジョ…貴方､シーザーが奪ってくれた解毒剤…まだ飲んでないわね」
「お…ああコレか」
ジョセフが懐から解毒剤のピアスを取り出す｡
「何故?」
「ワムウを倒してから飲むことにしたぜ…へへへっん｡このピアスはもう､ワムウとの間に出来た約束のピアスじゃあなくなった!この戦いに勝って生き延びるというシーザーとの約束に変わったのさ…!」
そう言うとジョセフはリサリサにその時までこのピアスを持っていて欲しいと頼む｡
だがリサリサはそれを断った｡
「いいえ､それは貴方が持っているべきよ…私にも何があるか分からないから…」
意外なリサリサの言葉に呆気に取られ固まるジョセフの服の袖を引っ張る｡
「行こう」
「あ…ああ」
奥へ奥へと続く血の間隔は徐々に広がっていた｡
それはワムウの傷は回復しつつあるという証拠だった｡
一旦､血痕がある扉に遮られて止まる｡
私達は扉を開け中へ｡
部屋の中は暗く殺風景だった｡
ちなみに微かにある暖炉の火以外､光源はない｡
ワムウが奥に鎮座しているのが見える｡
「待っていたぞ…成長したらしいな…実に」
「てめぇ!この野郎がシーザーを!」
今にも飛び掛りそうなジョセフをリサリサと私が止める｡
「落ち着いて､ジョジョ…ワムウより床を見るのよ」
「そうそう…クールにいこう…ジョジョ」
「心配ねぇぜ…俺の頭はクールだぜ…」
床の足跡はワムウのものと､あともう一つあった｡
「つまり!カーズのだ!どこに隠れているんだ!?てめえも姿を見せやがれ!!」
「……おかしい…」
「そう､二人分の足跡しかない｡この部屋には呼吸の気配は何重とあるのにッ!」
リサリサの言葉に感心した様子のワムウが暖炉の火に風を入れ､一気に燃え上がらせた。
それにより天井までもが照らし出された｡
天井にはおびただしい数の吸血鬼が直立不動の姿勢で張り付いていた｡
「な､何だァ!?てめぇら!全員吸血鬼か!畜生!」
しかし､ジョセフの言葉に彼らは何の反応も示さない｡
ジョセフが不気味だと言ったその時､突然まばゆいほどの光が横から私達を一瞬照らした｡
そこに見えたのはカーズだった｡
天井の吸血鬼の一人が､号令と同時に貴様らを細切れに引き裂いてやるというと､その他の吸血鬼が雄叫びを上げだした｡
第97話「賭けをしようか」→←第95話「お仕置きされるのはお嫌い?」
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
