第91話「それが運命だとしても」 ページ41
リサリサが語ったシーザーの過去は､やはり孤独の青春と言ってよかった｡
「そうだったのか…」
「シーザーの憎しみの深さは､そのまま父への一族への誇りの高さとなったのです…そしてシーザーは父の跡を継ぎ､波紋の修行に入りました｡」
「カーズはシーザーの父親の仇｡すまなかったなシーザー｡お前の一族の気持ちに悪口なんて言って…」
「そんなお前が罠があるのを知ってて､あえて戦うというのならカーズを倒す作戦も必ずあるのだろう｡……気が変わったぜ!昼間決戦を挑むというのなら､俺も一緒に乗り込むぜ!シーザー・ツェペリ!」
「そういえばユメ…貴女の意見をまだ聞いていませんでしたね」
「元々､ジョジョと同じで迎え撃つ派でしたが……兄弟子二人が乗り込むというのなら、私も乗り込みましょう」
「分かりました…では､私達もホテルへ向かいます｡覚悟はいいですね?」
「はい!」
「おうよ!」
「おい!ユメ!あんまり勝手に先へ行くんじゃあねえ!」
「そうです､シーザーの事が心配なのは分かりますが…メッシーナが先に行って彼を止めているはず」
「でも…」
実は私もメッシーナと共にシーザーを追い掛けようと考えていた｡そしてワムウに見つかる前に､彼を引き摺ってでも連れ帰る気でいた｡
そうすれば､メッシーナの片腕ちょんぱとシーザー死亡を避けられるという考えだった｡
しかし､メッシーナと共にシーザーを追おうとして､リサリサに止められた｡
わざわざ狙われている貴女が行くのも危険すぎると言われて｡
今は乗り込む事に作戦変更となり､私も行く事になったが､ホテルまでの距離が思いの外長く｡雪道という事もあり時間がかかる｡
私達は､なんとかホテルの門まで辿り着いた｡
「居ない!メッシーナもシーザーも既にホテル内に入ってしまったのか…」
私はあるものが目に入り､リサリサとジョセフを置いて､走り出した｡
「おい!だから勝手に…なっ!」
「こっ…これは一体､何が…」
後ろで二人が驚愕の声を漏らす｡
そのあるものとは､人間の腕｡
間違いなくメッシーナの腕だろう｡
ホテルの方を見るとホテルの入り口の扉はしまっていて､ホテルの壁面に大きな穴が空いている｡
あとからリサリサとジョセフが私の元へ来たその時｡
ホテル内から爆風が吹いてきた｡
私の脳裏にアノ本に書かれていた言葉が浮かぶ｡
『この世界の運命に君が完全に介入する事は出来ない｡死ぬ者は死に､生きる者は生きるのだ』
第92話「フラグを立ててやったぞ」→←第90話「殴り合いって怖いよね」
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
