第82話「Arrivederci」 ページ32
赤石がスイスのサンモリッツに送られた事が判明した｡
赤石を乗せた列車がそこに着くまでに私達は列車に追いつき赤石を奪還しなければならない｡
おそらく､そこにカーズとワムウも居るだろう｡
「これから､私達は奴らに赤石を渡さない為に､かなり汚れた事もあえてやらなくてはならない｡」
リサリサ､メッシーナ､シーザー､ジョセフ､私の五人は赤石奪還の為､車に乗り込んだ｡
「法律を犯すかもしれない｡我々の誰かが犠牲になるかもしれない｡」
「俺はならないぜ」
「以前ならいざしらず､今のこのシーザーが負けるはずはない」
「奴らをぶっ殺してやる」
「私はジョジョの友達やってるから､死ぬ気はないし､法を犯すとかそういうのはなんかもうOKです､でなきゃジョジョの友達やるとか無理無理」
「おい､最後の方の台詞どういう意味だよ」
リサリサが全員を見渡し､運転席のシーザーに声を掛け出発する｡
後ろで見送りのスージーが手を振るのが見えた｡
私が振り返す｡
「おい､シーザー!すまんが戻ってくれ」
ジョセフの突然の要求にシーザーが顔をしかめる｡
「私からもお願い!忘れ物した!」
シーザーは快く承諾し､Uターンしてくれた｡
とぼとぼと帰っていくスージーに声を掛け引き止める｡
車は一時停止｡
「おい!スージーQ!コッチ向け!」
「おーい!スージーQ!」
私とジョセフが車から身を乗り出す｡
「サヨナラだぜ!でも､いつか必ずまたヴェネツィアへ戻って来るからなぁー!」
「私もねー!」
「ッ本当に!?」
スージーが笑顔を咲かせる｡
「ああ､それまでその､ボロボロの身体治してろよな!」
「風邪引かないようにね!」
「ッ…う…うん!」
「じゃあなー!」
「まったねー!」
車が発進する｡
「ジョジョ!ユメ!絶対に!絶ッー対に戻って来るのねー!」
「勿論だよー!約束通り､一緒に美味しいお菓子食べよーねー!そんでいつか日本のお菓子も食べよー!」
「しつこいぜ!でも､お前がババアになってからかもなぁ!」
スージーQが苦笑しながら小石を掴み､前へ投げた｡
「このー大馬鹿野郎ー!」
「おい､ジョジョ｡ジョジョ」
「ジョジョ､ねぇ…ジョジョったらァ」
眠りこけているジョセフを私が揺するが全く起きる気配がない｡
「ユメ…少し､離れてろ…おい､ジョジョ…ジョジョ!起きろ!」
「ふァッ!?…ぇ…なにィ?」
ジョセフはメッシーナの肘鉄を頭にくらい､その衝撃と痛みで漸く目覚めた｡
夕方5時､私達は目的の列車へ追い付いたのである｡
第83話「久しぶりの再開」→←第81話「人間が忘れがちな事」
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
