第80話「どうやって声重ねてるの」 ページ30
「なっ…どういう事だ」
シーザーがスージーを見た時､彼女は片膝を抱え､柱の縁部分に座り込み泣いていた｡
「エシディシの残骸だ｡奴の脳と血管が､波紋を使えねえ彼女の身体に取り付きやがった!畜生!」
「助けて､シーザー…お願いよォ三人が私をいじめるのぉ…貴方はいじめないわよね…シーザー」
エシディシがスージーの声を使ってシーザーに語りかける｡
「惑わされんなよ､スージーQの意思ではないぜ｡エシディシが喋っているんだぜ」
「シーザー､赤石が郵便船に積まれ出航してしまいました｡ここは私達に任せて船を追い､赤石を取り戻して…もし､郵便物がヴェネツィアから列車に乗せられたら…ココは観光地｡世界の何処へ送られたか分からなくなります!」
リサリサが言い終わるとほぼ同時に､いきなりスージーが飛び上がり､シーザーに蹴りを入れた｡
「シーザー!」
私がシーザーに駆け寄り抱き起こす｡
「追わせはしねぇ!」
エシディシの声がスージーの声と重なって出てくる｡
スージー､いやエシディシは再び飛び上がると､入り口に行き､血管針を使ってスージーの身体を操り人形の様に宙吊りにしながら私達を挑発する｡
「来いよ!来なよ!波紋で俺を殺してみろぉ!てめぇらの波紋なら今の俺を簡単に殺せるぜぇ!だが!この娘の心臓もまた､波紋のショックには耐えられない事は知ってるよなぁ?この小娘を攻撃できるのかよォ!てめぇらにそれが出来るんなら!早く俺を殺してみろ!」
「ッ…!エシディシッ…!貴ッ様ァ…!!」
私は涙を浮かべ､エシディシを睨みつける｡
とその時｡ジョセフがエシディシに近づいた｡
「おい!甘くみんなよォエシディシ!たかが女一人の命失ったって…そりゃあ…世界の皆の命を救う為だぜぇ!しかたのねぇ損失と俺は考えてるんだぜ…」
これは演技だ｡
エシディシをスージーの体内から出す為の｡
ジョセフが殴り掛かる振りをするが､エシディシは全く動じなかった｡
「この野郎!驚いて飛び出すかとお前ば､ビビりもしねぇ!」
「つまらんハッタリはよせ…この女が殺せるわけがねぇ…今頃､赤石はヴェネツィア半島に渡った頃だなぁ…もう手遅れだぜ!」
そう言うとエシディシは､スージーの頬に指先を突き立てた｡
「これから…この女の身体ごと爆裂して貴様ら全員､俺の溶岩弾の様な血液でぶっ飛ばしてやるゥ!」
スージーの身体が破壊されていく｡
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
