第77話「朝日に照らされて」 ページ27
「んで､どーよ」
「うん､効いたみたい｡違和感ゼロ」
「どれ…リサリサとシーザーのとこに戻るか」
「あっ､一寸待って…背中見せて…ほら気付いてないだけで火傷とかあるかもだし…」
「別にいいけど…」
一応､構えておいたものの､ジョセフの背中にエシディシの脳は張り付いていなかった｡
内心､ホッとする｡ついてたらついてたで大問題だが､ついてた時はソレを間近で見ることになる｡
正直､アレを生､しかも間近で見るのはキツい｡
「んじゃ､次はジョジョが私の背中を見て」
私は背中を見せる為に後ろを向いた｡
ついてないことを祈る｡
「何だよ…別にお前の背中にも火傷なんてねぇけど…」
良かったああああ!と心の中で叫んでいると､ジョセフにくるりと前を向かされる｡
「えっ…あっ…そうだね!早くリサリサ先生達のところに」
「違う､そうじゃねえ…いいからじっとしてろ」
ジョセフに顎クイというやつをされ顔を覗き込まれる｡
美形に見つめられるのは一体何ていう拷問だろうと思いながら､心臓をバクバクさせじっとしていると､ほんの数秒で顔を離された｡
「医者じゃねえから…確実じゃねえけど…見た感じは大丈夫そうだぜ…でも早いとこ冷やせよ｡頬をかすった程度みたいで火傷はしてねぇっぽいけど､万が一って事もあるし」
どうやら､エシディシの血管針をマスクで受けた時の事を気にしていてくれたらしい｡
「ふふっ…ありがとう｡でも､そういうジョジョだって…そのセクシーな唇は大丈夫なの?」
「あたぼうよ､この程度でどうにかなっちまう程ヤワじゃあねぇぜ!」
そこで､二人共気が抜けて笑い出してしまった｡
なんだか緊張が一気にとけたのだ｡
全てを浄化する様な朝日を浴びて少しだけ安心したからかもしれない｡
「そういえば､あのシートどこで手に入れたんだよ」
ジョセフが思い出した様に聞いてきた｡
「スピードワゴンさんにおねだりしちゃったぁ」
実はローマでエシディシに指輪を埋め込まれた後､エシディシ戦を想定してスピードワゴンにこのシートを頼んでおいたのだ｡一応､約束していた期日にはバッチリ届いた｡
グラッチェ､スピードワゴン｡
「さっきから何キョロキョロしてんだ」
「いやぁ…なーんか…変に気が昂っちゃって」
館に戻って来た私達は､一緒にリサリサの部屋へ行こうとしていた｡
私は､一応警戒しながら歩く｡だって､どこにエシディシが潜んでいるか分からないから｡
本当に波紋で消滅した確信がないので､用心するに越したことはない｡
第78話「将来が楽しみすぎる」→←第76話「波紋疾走のビート」
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
