第70話「波紋戦士の鬼ごっこ」 ページ20
「いきますよ､A」
「よろしくお願いします」
私の最終試練はリサリサと戦う事だった｡
だが､ジョジョとシーザーの試練の戦いの内容とは異なるものである｡
「この私に触れる事が貴女の勝利条件!タイムリミットは落日の瞬間まで!」
リサリサはそういうと身を翻し､軽やかにその場を離れた｡
「やってやろうじゃあないですか」
私は鞭を手袋をした手に握りしめる｡
私の最終試練は､簡単に言ってしまえば「鬼ごっこ」である｡逃げるリサリサに私が触れれば勝ち｡完全に日が落ちるまでに触れられなければ負け｡ちなみに道具を使ったり､波紋を使うのもOK｡ただし､お互い建物の中には入らない事｡あくまで屋外戦闘を行うこと｡
「うへぇ…どこに行ったんだろ」
早速､リサリサを見失った私は小走りで館の周りを探し回っていた｡
うろちょろしていると､漸く館の屋根を伝い､私の居る場所と反対方向に向かうリサリサの姿を発見した｡
「リサリサ､カッコイイー!……ってそんなの言ってる場合じゃあなかったんだ!」
私は急いで回り込む｡
すると､丁度よくリサリサが屋根から地上へと降り立ったところだった｡
「め…女神降臨…って!だからそんなの言ってる場合じゃない!とにかくリサリサに触れないと!」
私はがむしゃらに走り出す｡
勿論､リサリサはすぐに気付き､逃げる｡
気付いた時には､離れ小島へと続く長い橋の真ん中辺りまで来ていた｡
「このまま､ただの追いかけっこを続けても無意味ですよ」
「ふふ…そんなの百も承知です」
リサリサは遂に､こちらへ攻撃を仕掛けてきた｡
マフラーをゆるやかに投げたのだ｡
恐らく､突きか蹴りが飛んでくる｡
私は海の方へ避ける｡
周りは海｡つまり足場なんてない｡だが､波紋戦士にそんなの関係ない｡
「完璧ですね」
「お褒めいただき光栄です」
私は海上に静かに立つ｡リサリサは橋の上に立つ｡
「だが､それだけでは戦士たりえない!」
リサリサも海上に降り立つ｡
少しの静寂の後､リサリサが先に仕掛けてきた｡
海水を蹴り上げ､私の方へと水柱を当てにきたのだ｡
私達は波紋を使う事でで､ある程度水を操れる｡
私も､同じく水柱を作り､相殺する｡
そして､私は水柱が作った影を利用して､再び橋の上に戻る｡
リサリサもすぐに橋の上へ戻って来た｡
「先生…もう準備も出来ましたので…触れさせて貰いますよ」
私は先程の水柱によって完全に濡れた橋に鞭を打つ｡
「何を言っ」
リサリサがハッとして言葉を止め､足元を見た｡
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作者名：夢書き | 作成日時：2018年8月18日 8時
