第9話「引き渡し」 ページ9
「バッド・アップル……ろくでなし、か」
タルウィを引き渡しつつボソリと呟く。
「どうしました、Aさん」
「あ…ううん。なんでもないの」
それならいいですけど_とジョルノが彼の部下に挟まれ身動きを封じられたタルウィに目を向ける。
「ああいうのがまだいるんですね」
「まァ昔よりは大分減ったけどね。襲ってくるのは大抵が奴を狂信してるタイプだけ」
「傍迷惑な話です。過去に縋り続けるのでは何も解決しない」
「ごもっともだよジョルノ君」
私の足元で白猫がみゃあと鳴いた。
何故こんな事になっているのかというと。
_却説このタルウィ。どうしたものかと私は悩んでいた。
財団に連絡したとしても、都合がつくか分からない。
花京院に来てもらう訳にもいかない。
警察に通報なんてのもない。一般人に預けるのは危険だ。
と思っていた時。
未来予知の能力でも手に入れたのかという程のタイミングでジョルノ達に鉢合わせたのだ。
なんでも、アメリカに所用で来たのだとか。
ちなみにこれからイタリアに戻るものの、再度アメリカに来る予定らしい。
「承太郎さんの事について協力出来ることがあれば言ってください」
「…助かるよ」
私は少し微笑んで、ポケットから板チョコを取り出した。
「そうそう板チョコあげる」
「あ…ありがとうございます」
ジョルノが苦笑する。
「なんだかまだ子供扱いって感じですね。僕ってそんなに子供っぽいですか」
「ふふふふ、私が子供扱いしたいだけ」
背の伸びた可愛い甥っ子を私はニヨニヨしながら見上げた。
「他の皆にもヨロシクねー!」
「はい、伝えておきます!またお会いしましょう!」
「バイバーィ!」
私がぶんぶん手を振ると、ジョルノは爽やかな笑顔で返してくれた。
これがギャングスターだとは誰も信じないだろうな。
「君の甥っ子も中々のもんだね」
白猫がジョルノ達が去った彼方を見詰めて耳をひよひよ動かした。
「いい子なんだよ。きゃわいい」
私がうふふっと笑うと、そういうことではないけどまァいっかと返された。
「そうだ。一応彼女の今の状況も教えとくよ」
「彼女は今修道女をやってる。このアメリカのどこかでね」
「範囲広くね?」
「世界よりは狭いよ」
「そりゃあそうだけど…」
この国に一体何人の修道女がいるのやら。
「3月21日12時02分迄に決着を着けてくれ」
「げっ…時間指定あるの…」
「いいじゃないか。逆に考えるんだ、それより早く遂行すればいいってね」
うわぁ、白猫がパパみたいなこと言ってるぅ。
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時