第43話「蛇の如く執拗に」 ページ43
ナイフの破片が飛び散り、光り輝く。
カーズが腕の刃を振り上げる。
デアの目が零れんばかりに見開かれる。
無数のナイフが展開され、まるで銀色の魚の群れが2人を包んだかに見えた。
ナイフの群れがカーズを襲う。
カーズはそれを腕の刃で切断する。
だが。
「でも駄目よ」
「なッ!?」
弾き飛ばしたかに見えたナイフの一部がカーズの肉を抉り、体を吹き飛ばした。
「カーズッ」
「何処見てるッ!こっちだぜ!」
「ッ!」
人形を盾にしてメスをしのぐ。
湧き出る人形を相手にしつつ、メスを避け、毒を警戒する。
これは思いの外キツい。
「今度は貴女」
デアが容赦してくれるわけもなく、直ぐにナイフを私に向けた。
それを鞭で薙ぎ払うも、雨の様に降り注いで来るのでスタンドも駆使しなければ、とてもじゃないが対処出来ない。
「ったく、何が悲しくて自分の顔を眺めて戦わなきゃならないんだか…」
「うふふふ、わかるわ。自分が1番醜く見えるものね」
「ワオ…流石、同じ魂だ」
「考える事は大抵一緒よ」
思い切り踏み出す。
デアがナイフ達を構える。
そして_次の瞬間。
「う…」
鮮血が舞い上がって、私の頬を髪を服を少しだけ濡らした。
「漸く仕留められたな」
「…ァ…」
刃がデアの胸から引き抜かれる。
気付けば人形もメスも砂に埋もれていた。
しかも他の3人の姿もない。
「まとめて仕留められる位置をずっと待っていたのだ。寸分の狂いなく。確実に、反撃の隙など与えず、仕留める位置をな」
カーズは実につまらなさそうに説明した。
「貴様の匂いは矢張りそっちの小娘と似ている。たとえ姿が変わろうとも、そこは変わらん。だから貴様は間違いなくあの金髪の娘だ」
「あら…凄…い」
デア胸を抑えながらも何とか立っている。
長い黒髪が何束かするり顔にかかっていた。
「でも…」
その瞳は。
「カーズッ!!まだだ!!早く殺れ!!」
まだ。
まだ諦めてなどいない。
寧ろ黒い炎が燃え上がっているようにすら思える。
「これでいい…」
突如。
物凄い勢いで雨が降り出した。視覚も聴覚も意味をなさない程の。
その中で触覚が、何かが体にまとわりついてきたのを感じた。
それは。
「デアッ」
彼女の手が私の肌にくい込んでくる。
何とかそれを振り払おうと私はもがいた。
私はもがく中で何かを掴んだ。
そしてそれが硬い何かであると思った時。
私にまとわりついていたデアの力が消えた。
そして_。
「のわあああああああッ!!」
私は落下した。
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時