第39話「ギャングスターにお願いを」 ページ39
3月20日午前6時。
「グラッチェ、ジョルノ」
「御礼は彼を治してからでいいですよ」
ジョルノの金髪がふわりと風に靡いた。
一瞬ビクリとする。
「?…どうかしましたか」
「い…いや何でもない。さぁ、早いとこ彼の元へ行こうか」
彼は彼だ。
それはわかっているのだが。
ジョルノは頷くと、後ろに控えていたミスタに指示を出した。
「ミスタ、アレについてはこちらの方と協力して片付けておいてください」
「了解だ、ジョジョ」
ジョルノはギャングスターになってからは周囲の者にボスではなくジョジョと呼ぶ様に言っているらしい。
「…でもよォ、それはいいんだが…あんまりうろちょろすんなよォ」
「大丈夫ですよ、僕だってもう今年で26…迷子になんてなりませんよ」
まァ、26歳だろうが迷子になる奴はなるがな。
ちなみに自慢じゃないが、そんな感じで迷子になった者こそ私だ。
「そうじゃあねぇって…」
「わかってます。万が一の場合もきちんと考えてますから」
ジョルノの爽やかな笑みと有無を言わせぬオーラによりミスタはやれやれと頭を振った。
万が一とは敵に狙われた時の事だろう。
うん、敵が心配だな。
「そういえば、仗助は…」
「彼は忙しくてね、それに身内でも情報は気軽に漏らせなくて…」
本当は仗助に頼みたかったのだが、今回は事が事なので彼に頼む訳にはいかなかった。
「ふむ。だったら僕が1番適任ですね」
「ええ」
「おい、お二人さん!いや、御三方!俺ァそろそろ行くからな!」
「では宜しく頼みますよ。僕も終わり次第合流します」
「おう!」
「ミスタ!今度は仕事抜きで皆でお茶しましょーね!」
「分かりました!他の奴にも伝えときますよ!」
彼の声と共に彼のスタンド達の喜びの声が重なって聞こえて来た。
ミスタが去った後。
私とジョルノは病院へ向けて歩き出した。
ジョルノが歩きながらコートから1匹の亀を取り出す。
「…矢張り定期的に外は見ておきたいものだな」
「室内だけというのは息が詰まりますからね。僕もよくわかります」
ひょこりと亀から上半身を出したポルナレフの言葉にジョルノが同意したその時。
ぞくり。
まるで、蛇が体を這いずる様な嫌悪感が走り抜けた。
この感覚。これは。
「Aさん…僕は今妙な感覚を感じています」
「奇遇だな…ジョルノ。私もだよ」
私とジョルノは互いに顔を見合わせる。
2人共、自分の左肩に手を置いていた。
「こ、これは一体…まるで…エジプトで感じた…奴の様な…」
ポルナレフの言葉が重く響いた。
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時