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第37話「お眠りなさいよ坊や」 ページ37

メスが掠っただけだ。
なのに。左腕が酷く怠い。
「正解ですよ。ふふ。…感覚を失わせていく…それが私のスタンド「ワクシング・アンド・ウェイング」」
でも彼の能力と併用しているかもしれないし、そうでないかもしれませんね。とアズライルは悪戯っ子の様に笑う。
私もつられたように笑い返す。
「凄いなぁ…おばあちゃん、吃驚して寿命が縮みそうだよ」
相当やばい事になった。
思わず唾を飲み込む。
そして目だけで今居る場所をさっと見回した。
「とっとと諦めちまいなよ婆さん」
「それが出来ないのが私なんだよ坊や」
メスが飛んで来る。
今度は単に避けようとしたが避けられなかった。
しかも右足にメスが刺さった様だ。
がくりと膝から崩れ落ちる。
右足の感覚が一気に無くなってしまったからである。
どうやら効果は負傷具合に左右されるらしい。
それにしても先程から視界にチラチラと羽毛が舞っているのは幻覚か。
メスの攻撃を受けてからだから、スタンド能力ではあるのだろうが。


「何か…生み出してくれてもいいんだぜ…そしたら俺のスタンドで仕留めてやるからよ」
「タルウィ、その気ならどういう毒を使えばいいかわかってるんだろうな」
「チッ…苦痛のない様なやつだろ…」
全く。2人だけで仲良くするんだから。
おばあちゃんいじけちゃうぞ。

ガシャンと何かが壊れる音がしたかと思うと、細かな水が降り注いで来た。
「!!」
「なんだァッ!?」
それはスプリンクラーによる放水だった。
火事も無いのに何ででしょうね。

ええまァ、犯人は私です。
茨をこっそり伸ばして、スプリンクラーをぶっ壊しましたん。
「空気にされて寂しかったから、構って欲しくってぇ……てへっ」
勿論冗談ですよ奥さん。
本気にしちゃあ駄目駄目よ。
「何の真似だババアッ」
まァ、タルウィったらイケナイ子。
おばあちゃんと呼びなさい。おばあちゃんと。
その方が可愛いから。
キレるタルウィの隣で、アズライルがしまったという顔をする。
勘のいいお子様は状況によって好きか嫌いか決めるわけですが、敵だった場合あまり好きにはなれないんだなこれが。

却説_この時間帯だと二度寝?になるかな。
それはさておき。
「波紋疾走ッ!!」
床に薄く溜まった水に波紋を流す。
これはこの前、吉良とトフィーに対して使った作戦だが中々良い作戦だと思う。
結構使えるね。

然し、床に倒れたのは1人だけだった。

「効かえねよ…ババア」
「おばあちゃんと呼びなさい…坊や」

第38話「体験したかった様なしたくなかった様な体験」→←第36話「色々な用法用量を御自由にどうぞ」



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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時

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