第36話「色々な用法用量を御自由にどうぞ」 ページ36
『しかも、職員の殆どが動けなくなってるんです!感覚がないと訴えている者や、無気力な者が大勢!』
追い掛けてくる敵2人とは距離を保ちつつ通信する。
「おいおいおい、皆仲良く厄日かァ!?今日はァ!?」
『気を付けてください!医療用メスで攻撃されたそうですから!多分何かしらのスタンド能力の効果をメスに付加して被害を出していると思われます!』
メスが足元に突き刺さる。
成程、触っちゃ駄目なやつか。
くるりと振り向いて立ち止まる。
敵も立ち止まった。
「おう!今、目の前に居るぜ!丁度いいいからぶっ飛ばして能力解除させてやるよ!」
『僕もこっちを何とか出来た場合、加勢にいけたら行きます』
「ありがとよ!のりちゃん!!」
のりちゃ…?と困惑の声が聞こえた気がしたが気にしない。気にしないで通信を終えた。
「私は貴女に安楽の死を与えたい」
「それはどうも。でも死ぬのは嫌だなぁ」
私は鞭を手に取り、スタンドを出し、完全な戦闘態勢をとる。
「おい!アズライル!安楽なんていらねぇだろ!とっとと殺っちまえッ!」
「君という男は何故何時もそうなんだか…」
アズライルは呆れながら私に向かってメスを放つ。
だがそれは当たらない。
この程度なら鞭で払えば十分だ。
勿論、注意はしている。
あの時の様に毒を撒かれては堪らない。
「コントロールは難しいですね…私はこういう体を使って何かするのが苦手でして」
とてもわかりみが深い発言の後、彼はくつくつと楽しそうに笑った。
「でもそんな私にしては上出来ですかね…」
またメスが放たれた。
私はまた鞭で払った_と思ったのだが。
「ッ!?」
左腕に熱い感覚と少しの痛み。
そしてカランと床に金属が落ちる音。
メスが掠ったのだ。
「彼の毒は色々あります。何故、彼が医療関係者にならなかったのか理解に苦しむ程に」
「俺だって患者苦しめて喜ぶ変態じゃあねぇんだよ」
「そういう意味じゃないさ」
成程。注意はしていたのだが。
タルウィの毒の攻撃を既に受けてしまっていたようだ。
恐らくは無味無臭のもの。
呼吸で摂取してしまったかもしれない。
「視覚が狂わされる感じか…」
「…正解です」
「てか、貴方のスタンドももしかして毒…?」
私は口角を無理矢理上げて笑みを浮かべる。
戦闘においては虚勢も大事だ。
「いいえ…」
「あーあーあー……じゃあ…体の感覚をどうこうしちゃうとか?…ほら、動かせないとか、怠くなっちゃう…とか?」
アズライルの眉がぴくりと動いた。
「ふふふ…」
「にゃはは」
図星_かにゃ?
第37話「お眠りなさいよ坊や」→←第35話「安楽の告死天使と猛毒の悪魔」
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時