第4話「バッド・ボーイ」 ページ4
タルウィは素早い動きで拳銃を手にした｡
そして＿｡
銃声と同時に熱風が吹いた｡
「熱ッ」
思わず目を瞑り､しまったと思った｡
だがタルウィは私ではなく､私の背後にある巨木の枝を撃ったのだった｡
一体何がしたいんだと思っていると｡
「上だッ」
白猫の声に反応して､白猫と共に右へ飛び退く｡
すると＿｡
「な…」
私が先程まで居た場所に太い枝が落ちていた｡
何故か枯れており､しかも＿｡
「何だ…コレは…」
不気味な音を立てて枝が液状化していく｡
色はまるでドブのようだ｡
「あたしとあんたのスタンドって相性最高なの」
タルウィはケラケラ笑う｡
「あんたが生めば生むだけ…あたしは有利になる」
タルウィがまた弾丸を放つ｡
熱風と共に私のすぐ横にあった花壇が撃たれる｡
「さぁ!早く!早く生み出せよ!お前の能力でなッ!でないと…色々となくなってくじゃあないか!」
高く可愛らしい声が徐々に低くなり､完全に男の声だ｡
「うッ…」
突然目眩がしてよろめく｡
「効くよな?効くだろう?そいつはかなり早く気化して周囲1m以内に1分間程漂う毒だ…｡今風は吹いてないから､気流で流れるのは期待するだけ無駄だぜ」
「毒?」
座り込んでタルウィを見据える｡
「っていっても目眩と痺れで歩行困難程度のやつだけどなぁ」
毒のスタンドなのか｡
「今度は…どうしようかなぁ…」
タルウィは拳銃を放り捨て､ニヤケながら小石を手に取った｡
「大事なのはコントロールなんだよなぁ｡でないとこっちまで危ねぇからなァ」
コントロール?
そういえば､何でこいつは拳銃を使ったんだ｡
どうやら植物を毒に変えるスタンドの様だが､スタンド自体は何だ?
拳銃は違う｡弾丸も違う｡
だとしたら＿｡
「お前のスタンドは…風…か」
タルウィは小石を弄ぶ動きを止め､冷たい目で私を見据えた｡
「ふぅん…気付くんだな｡こんな短時間で…俺の「バッド・ボーイ」の正体に」
タルウィは完全に低音で､口調も変わっている｡
恐らくこいつの能力は熱風で触れた植物を枯らし､毒に変えること｡
そしてその熱風をコントロールするために小道具を指標として使うのだろう｡
「そりゃ…気付くさ｡伊達に場数は…踏んで…ないんでね」
やばいな｡
ぐらぐらする｡
「でも残念｡気付いたとこでどうにもなんねぇだろ」
「それは…どうかな」
「強がるなよ｡本当は怖いんだろ?だって…次で最後だからな」
タルウィが小石を私へ向けて放り投げる｡
熱風が残っていたまだ枯れていない花壇の花に吹き付けられた｡
第5話「ミート・ウィズ・ファーザー」→←第3話「お仕置きの時間かしら」
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
