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第30話「終幕への支度」 ページ30

真の終幕?
『衝撃がまだ弱かったんだよ…だって手加減しただろ?』
「それは…まァ…」
たしかに手加減はした。先程のは気絶させる程度の波紋だった。
『と言っても、取り敢えずは戻って来たみたいだけどね』
そうか。戻って来たのか。
ふと、周りを見渡せば自分の部屋に居た。
机には書類が山の如く積み重なっている。

それにしても吉良は、吸血鬼になってるのとそうでないの別々に居たという事か。
有り得ない事が平気で起こる空間だとは理解していたが、あまりにもな気がする。
恐らくは同じ人物だが、同じではないのだろう。
『だが心しておき給え…また「彼処へ引き摺り込まれる」のは確実だということを』

白猫の声が止んだと同時に、部屋の扉が軽く叩かれ。返事をすると入って来たのは花京院だった。
花京院は私の顔を見て、何かありましたか首を傾げた。
私は何でもないと言って伸びをする。
「ところで何の御用かしら?」
「Aさん、修道女を調べてますよね」
「嗚呼…うん…凄い数だけどね」
思わず顔を顰めてしまう。
亜米利加全土の修道女を調べるだなんて覚悟していても気が遠くなる。
「実はですね。気になってる事があるんです…とはいえ、僕が個人的に気になってるというだけなんですが」
花京院が手にしていたファイルを開く。
「G·D·st刑務所に教戒師として働く神父が居るんです…そして…」
ファイルが捲られていき、ある部分で止められた。
花京院が私の方にファイルを向ける。
「その神父の手伝いをしているという修道女が居るのですが…」
「……コレは」
神父らしき人物の隣に、顔を背けた様にしている修道女が写っていた。
背はそれ程高くもない。しかも半分程神父の体に隠れている。
「写真は神父の隣に居るそれしかありません。隣にと言っても半ば隠れる様にしているので殆ど写ってませんが」
「記録とかで正式に顔写真を撮ったりとかはしてるんじゃあないの」
「いえ、何故かそれは無かったんですよ。神父のはあるんですが…」
「ふぅん…顔を見られたくない…とか」
それしかない。花京院の言う通りなら、中々如何して。
かなり慎重な性格の様だ。
「名前…わかる?」
「ミア…ミア・ローズというらしいです」
かちりと、頭の中で何かが嵌まる音が響いた気がした。
「そっか…そっかァ」
「年齢から経歴、出身地に至るまでは不明ですが…」
「ガチガチだねぇ」
叩いて何か出るかと思ったら何も出ない。

然し何もなさすぎるというのは_。

第31話「久し振りだね」→←第29話「雪を溶かして描くのは」



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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時

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