第29話「雪を溶かして描くのは」 ページ29
つくられていた雪達磨は黒い鞭が一瞬で崩壊させる｡
「思想の自由は認めるよ…でもそれは些か暴論なんじゃあないかな」
他の人形達はぎりぎりと根が締め上げ続ける｡
「それに「此の世の理」は甘くない｡世界を消すとしたって必ず「相容れぬ者」が現れる」
「だから邪魔者は排除するんじゃあないの」
それしかないわ､とトフィーが拗ねたような声を出す｡
雪がド派手に舞い上がった｡
「ッ…!!」
「仗助ッ!!」
親方ァ!空から男の子がァ!
等と巫山戯ている場合ではない｡
雪に埋もれる仗助を茨で救出｡そして横から来る攻撃には幾重にも絡めた太い木の根で対応｡
1つが爆発したが､全てを吹き飛ばされはしなかった｡
飛び散った破片からは更に生物を生み出し畳み掛ける｡
「しぶとい奴め…ッ!!」
「お前もな…!」
「ったく!どうなってんだァ!」
「もっと!もォっと遊びましょォ!」
背後から､まだ隠れていたぬいぐるみが襲ってくる｡それをすかさず仗助がスタンドで殴り飛ばす｡
私は敵2人が体勢を崩したところで仗助に指示した｡
「仗助､合図したら飛べ｡上へな」
仗助は､上へ向けられた私の人差し指を見て戸惑いつつも直ぐに頷いた｡
「次こそ仕留めてやるぞ」
「それはコッチの台詞だぜ」
「まだ終わりにしちゃあ､やァよ」
「終わりってのは必ずあるものなんだ､真理なんだよお嬢ちゃん」
吉良が一気に距離を詰め､仗助へ｡
コフィーはまだ残っていた人形達を私と仗助へ仕向ける｡
「どんな形であろうと「決着」はある｡それが「終わり」だ」
木の根は今やそこら中に這っていた｡
勿論､見えない部分＿雪中と地中にも｡
雪は先程からじわじわと溶けていた｡
そして＿｡
「
一気に周囲の雪が溶けて水となり､巨大な水溜まりが形成された｡
結果として全員が水溜まりの上に＿｡
一瞬､私以外の者が全員呆気にとられた｡
「今だ!仗助!」
仗助が即座に飛び上がる｡
「波紋疾走ッ!!」
鞭を水溜まりに振るう｡
波紋が水を伝って吉良とコフィーへ｡
二人分の呻き声と共に､世界が光に包まれた｡
「え…!あッなぁ!のああああああああぁぁぁッ!!」
私は面白いぐらいにごろごろと連続前転を決めた｡
何だろう｡最近よく転がっている気がする｡
少しばかり呻きながら立ち上がった｡
「お…終わった?」
『いいや』
「おわァッ!?」
突然の白猫の語り掛けは相変わらず慣れない｡
『まだ「真の終幕」は訪れちゃあいないさ』
第30話「終幕への支度」→←第28話「フォーティナイン・デイズ」
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
