第28話「フォーティナイン・デイズ」 ページ28
何だ。
反射的に飛び退いて、数m程離れる。
私が先程まで居た場所に数体の何かが蠢いていた。
「可愛いでしょう。それが私のスタンド「フォーティナイン・デイズ」」
それは_。
「あ…あらァ」
数体のぬいぐるみだった。
熊に兎に犬。
確かに可愛らしい。
可愛らしいのだが。
こいつァ、ホラゲーで包丁振り回しながらプレイヤーを追い詰める!そんなタイプの呪いの人形感ある気がするぜ!!
「頑張ってね、お姉さん。まだまだ沢山の子が居るから…出来れば皆と遊んであげて?」
トフィーはまるでままごとに付き合ってとオネダリする様に言う。
_まだまだ、沢山の、出来れば皆と。
という事は。
その考えに至った瞬間。
振り積もった雪がぼこぼこと歪に盛り上がって、色々な所で蠢き出した。
拙い。
かなり拙い事になってしまった。
この状況下でこの敵は拙い。
どうやらデアはそれなりに頭を使って私を追い込まんとしているらしい。
何だろう。流石誰かさんの妹というべきか。
まァ私も妹なんだけど。
ややこしやー。
嗚呼、ややこしやー。
それは兎も角、何故拙いかといえば、端的に相性が悪い。
トフィーのスタンド能力は、人形を操るというものようなのだが、これがなんともまぁめんどっちい。
複数の人形を一度に操れる。しかもここは雪原。
雪達磨が作り放題だね!やばいね!
私がジリ貧コースまっしぐらだよね!
しかも、相手は人形。
呼吸をしていない。
とはいうものの。
こちらもこちらで生み出し放題。
やばいくらい生み出し放題。
だって、物質がありまくり!
なんだったら、ホラー映画によくある感じで大量の生物による襲撃も可能!
ちなみに私の能力は確かにジョルノと同じ能力!
だがしかし!細かいところは違うのだ!
「基本的に「環境」はあんまり関係ないのよねん」
「わぁー!凄い!凄い!」
常緑ではない植物の根だろうがお構い無しに生えていき、人形達を雁字搦めにして行く。
「遊んだら、お人形さんはお片付けしないとね」
雪中に潜んでいた人形達も根に絡め取られて持ち上げられる。
「まだ遊びたいわ」
「駄目…だって「時間」が永遠に止まる事はないから」
「時間なんて無くしちゃえばいいのよ」
「そんな事したら嫌って人もいると思うけど」
「大丈夫よ、皆仲良く消えちゃえば関係ないもの」
うふふと笑うトフィーに応えるように私も笑う。
「にゃはは……たしかに…たしかにそうなんだろうけどねぇ」
みしみしと人形達の身体のが悲鳴をあげ始めた。
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時