第27話「天国の更に上」 ページ27
「お姉さんの髪は黒｡ミア様も黒なのよ｡瞳の色も黒｡でもお姉さんの瞳は少しだけ蒼が混じってるのね」
ふふふと幼女は愉しそうに微笑む｡
「でもね…ミア様の本当の瞳の色は紅…髪の色は金なのよ」
そして手にしているくまのぬいぐるみの目の部分をまさぐった｡
くまの目は釦になっているが､殆ど取れかかっている｡
それに､どうやら何度も付け替えている様だ｡
「私ねぇ…トフィー・ヴァーグっていうの…ミア様がつけてくれたの…素敵でしょう?」
「一体…何の御用?…私はあのお兄さんとおじさんに用があるんだけど」
「駄目よ｡だってミア様が駄目って言ったんだもの」
「ミア様…?」
「ミア・ローズ様｡私達を救済してくれる方よ｡「天国」の上の「
何だ?カルト教団か何かか?
「だからね､貴女が必要なの」
何がだからなのか｡
申し訳ないが､首尾一貫していない内容に困惑してしまう｡
「それでね…貴女を…」
＿殺さなくっちゃあならないんだって｡
にっこりと｡それはもうイイ笑顔を浮かべる幼女｡
私は少し後ずさる｡
「…そうなんだァ｡でもお姉さん殺されるのは嫌だなァ」
第一､
巫山戯てんじゃあないよ｡
神にでもなったつもりなのか?
ん?待てよ｡そういえば＿白猫が前に言っていた世界が巡るだの何だのに若しや関係しているのか｡
「一寸…質問いいかにゃあ｡…
自分で質問しておいてなんだが､正直自分が質問している内容自体よくわかっていない｡
だが､幼女＿トフィーは質問の意図を理解したらしく｡それは違うわと答えてくれた｡
「ミア様が目指してるのはその先よ…「天国」じゃあないの」
天国?
天国ってあの天国?
善人が死後に行ける代名詞の?
それとも至上の幸福が得られる比喩?
私はトフィーから目を逸らさず､ゆっくり立ち上がった｡
マフラーを掴んでいた人形はコロリと雪上に転がる｡
駄目だ｡考えるのは後にしよう｡
「神父様だって知らないの｡全てを知るのはミア様だけ」
「ふぅん…そうなんだ…」
相手は幼女｡
とはいえ敵｡
多少強引な手段だが､気絶させるのが一番｡
服の中を通し､背に自身のスタンドを回して地に下ろし雪の中を這わせる｡
丁度トフィーの足元まで来た時だった｡
数体の陰が私に向かって飛び掛ってきた｡
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
