第25話「そこは一面銀世界」 ページ25
やばくね｡
もう1人の私､やばくね｡
アレ出来るとかやば｡
だってアレさぁ｡某魔法の駅のやつじゃん｡
壁の中に入ってくやつじゃん｡
羨ま＿｡
じゃなくて｡
「また落ちるんかい」
一寸､一寸｡
白猫さん｡ナビぐらいしてくださいよ｡
こっちは命懸けっすよ｡割に合わねぇ｡
『ハイハイ､こちら白猫さん』
「タイミングゥ!!」
もう笑っていいかな｡
笑うしかないよ｡
状況的に合ってるかわかんないけど｡
多分疲れてるんだね､私｡
「思いの外強いね｡てか美人だった｡羨ましい」
『他にも美人がいるよ｡幼女だけどもね｡ちなみにその幼女を倒すのを最優先した方がいいよ』
幼女?
『今しがた､ウチの1番目の子から連絡が入ったんだけど｡どうやらその空間自体形成するのに一役買ってるスタンド使いが居て…それが幼女なんだって』
「た…戦いにくい」
『そんな事言ってると死ぬよ』
本当に甘ちゃんだな＿と声が響いたと思ったら､再び着地に至った｡
今度は痛くはない｡
痛くはないのだが｡
「のわああおおああおおおあああッ!!」
ド派手に転がった｡
我ながら情けない｡波紋の修行で初っ端に突き落とされて登った柱を思い出す｡
あの時も柱の上への着地が決まらず､しまらない声を上げながら転がり､リサリサを若干笑わせる事に成功した｡
聞いて驚け｡あの時リサリサ先生､込み上げる笑いを我慢して若干震えてたんだぜ?
白いものが舞い､冷たいという感覚が露出している顔を駆け巡る｡
「冷たァ…」
よろよろと起き上がると､そこは一面銀世界だった｡
雪が絶えず降り､ふわふわゆらゆらとしている｡
「うわぁーわかる､わかるぞ…コレはまだまだ降るパティーンだぜ｡きっともっと積もるぞ…」
これでも東北の田舎町出身｡
これぐらいは自然とわかる｡
「…?」
車のエンジン音が聞こえた｡
くるりと振り返ると､ハマってしまったであろう赤い車を後ろから押してあげる人影が見えた｡
ここからだと､遠すぎるのと､雪が降っているのとで､人影がどんな姿かはよく分からない｡
コレは助太刀せねば､と思ったその時｡
どうやら車は無事に脱出出来たようで､そのまま走り去って行った｡
うむ｡良かった､良かった｡
と頷いたものの､ここが何処かわからない｡
取り敢えず､雪の中にずっとは拙い｡
しかも私は雪中行軍並の装備どころか､明らかな装備不足｡下手したら凍死である｡
雪中､舐めたら死ぬ｡
絶対に死ぬ｡
私は情報収集の為､えっさほいさと先程の人影に近づいて行った｡
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
