第23話「嘘吐きは私」 ページ23
現在､私とシーザーは仲良く一緒に石畳に座り込んでいる状態｡
というのも＿若かりしシーザーを私が波紋入りの口付けで撃沈させ､腰を抜けさせてしまったからである｡
丁度､シーザーが私にもたれかかってる感じ｡
「言っとくけど…貴方にだからこの方法なんだからね｡他の人にはやらないんだから…」
意識が朦朧としているシーザーに向かって､あまり意味の無い言い訳をする｡
「…却説､何はともあれ色々聞いちゃおう」
それから私はある仮説を元にしながらシーザーに幾つかの質問をしたのだった｡
「へぇ…今って…1934年…シーザーも16って言ってるし｡……てことは」
話から推察するにシーザーが父親を失う前＿｡
そして恐らくこの状況は＿＿｡
『君の仮説は合ってるよ』
「わぁッ!!」
思わずシーザーに抱き着く｡
久しぶりの白猫の語り掛けである｡
『矢っ張り歪みってとこがキーパーソンなんだよねぇ｡普通なんて常識有り得ない｡つまり時代もお構いなしに逆行したりする世界｡しかも何処に行くかは運次第!ドッキドキだね!!』
「そんなドッキドキ求めてない｡てか早く帰りたいんだけど」
『だから敵を倒せばいいんだよ』
「なんか複数居たんですけど!!」
『真のラスボス倒せばいいじゃん』
この白猫､ノリがギャルの女子高生みたいなんだよなぁ｡
「真のラスボスってやっぱ…」
こういう場合､もう1人の私を倒してENDな気がする｡
『デアではないよ｡まぁ最終的には倒す事になるかもだけど…先ず倒すのはこの歪みの支配者ね』
「もう頭ん中､カオスだわぁ…」
『向かって来る敵倒してたらいずれ当たりが来るよ』
「真逆の数打ちゃ当たる方針…」
『ガンバ』
「……」
私は深い深い溜息を吐いて､シーザーの頭をよしよしと撫でた｡
「なぁ…シーザー｡君はこれから復讐心と自己嫌悪に駆られることになるだろう｡そして､深い後悔と悲しみを背負って生きるだろう｡でもなぁ…友達…大事にしろよ｡喧嘩別れなんてするんじゃねえぞ｡…勿論､復讐を止める気は無い｡お前の怒りも悲しみもお前にしか全てを理解出来ないからだ｡そして自分の心に決着をつける為にも復讐ってのは必要な行為なんだ｡だから私はそれを馬鹿げたことだなんて言わない｡絶対に」
止められるならシーザーの父の死を止めたい｡
「だから…生きろよ｡生きて…その先も…ずっと…貴方の夢を…叶える為にも」
だが､時間がそれを許さない｡
「波紋の魔法を解いてあげるよ､シニョリーノ」
愛しい人よ､どうか私を許さないで｡
第24話「踊る､踊る､踊る」→←第22話「若く見られて嬉しいけれど」
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
