第20話「真逆の路地裏」 ページ20
「ッ…!!」
痛みで変に声が曇る｡
急いで波紋の呼吸をおこなった｡
それにしても､私も初期と比べて大分変わってきた｡
戦士として鍛えられたからだろうか｡
度胸がついたような気がする｡
混乱するにはするが､割り切るところは割り切れる｡
「っぅ…やれやれだね｡今度は一体どんな風景が…」
所謂女の子座りの体勢で周囲を見渡す｡
「…あー…えぇと…街……なのは間違いないな…」
見れば石畳の広がる街中だった｡
そして私は人気のない路地裏に座り込んでいる状態｡
暗いので時刻は夜らしいことは分かる｡
一応､人々の喧騒が流れてくるのでそこまで遅い時刻でないのはたしかだ｡
それにしても路地裏とはまた懐かしい｡
私がニューヨークぼっちと化し､混乱していたことを思い出す｡
いやぁ＿あの頃は若かった｡
そしてあの頃は真逆､ジョジョの世界で転生してるだなんて思わなかった｡マジで｡
普通にトリップしたと思ってた｡
トリップしたのは1部の時｡
ジョナサンと出会った時だったのよねん｡
そういえば､これもなんだけど｡
ツェペリさんの義理の孫娘になるとは思ってもみなかった｡
というか結婚て｡
この､前の世界じゃ1度もモテなかった私が｡
しかも国際婚｡
イケメンと恋愛結婚｡
まぁじいでぇー｡
あの頃の私に言っても絶ッ対に信じないよねぇーッ!!
私は一旦､鞭をしまった｡
「はぁ…戻りたい…」
マフラーの端を持っていじいじする｡
シーザーに甘やかされたい｡
皆に会いたい｡
正直､私は前の世界の親の事は親とも思っていなかった｡
無関心だった｡
どうでもよかった｡親も親で私を捨てたようなものだし｡
私はこの世界の家族は心底愛している｡
この世界に来てからの方が自分らしく生きれ､そして生きたいと思えた｡それだけでも本当にトリップ出来て良かったと思う｡
心残りはシーザーの子を産めなかったことぐらい｡
私とシーザーには子供ができなかったのだ｡
「……」
私は下腹部をサッと片手で撫でてから立ち上がった｡
と､その時｡
後ろから近付いてくる気配に振り返る｡
「!!」
「おい､何してるんだ?」
金髪の青年がそこに居た｡
両頬に痣がある｡
「…?見ない顔だな…………旅行者か?」
青年が怪訝そうにこちらを見た｡
私は驚きのあまり､言葉が出ない｡
「……」
青年がこちらに歩み寄る｡
私は思わず後ずさった｡
だっ＿だってさぁ｡
だだだだだってさあああ｡
今私の目の前に居るのって＿｡
私の夫｡
＿になると思われる男なんだものおお!
第21話「見つめちゃイヤン」→←第19話「何でも切れる､何でも殺れる」
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
