第19話「何でも切れる､何でも殺れる」 ページ19
「でも貴女は特別なのよね｡肉体も持って来てるから」
あの男も本当に面倒な事してくれるわぁとデアが溜息をつく｡
「特別だろうが､なんだろうが知らないけど…兎に角貴女を倒せばいいんだよね…」
何はともあれ｡こういうのはラスボスタイプ｡
それに倒さなければならない感はある｡
だって先程から殺る気が凄いし｡
「んもう｡そういう急かすところはジョナサンそっくりなんだからァ」
デアがむくれながら､手で空を撫でる｡
すると無数のナイフが手品の如く現れた｡
「ナイフのスタンド…」
「うふふ､このナイフ…とっても斬れ味がよくってよ｡何だって切れちゃう」
私がスタンドを出しつつ鞭を構えたその時｡
砂がド派手に巻き上がる｡
「ッ!!」
「あらあら」
閃光､爆発｡
飛び散る砂塵｡
「交代しろ」
「よくってよ」
「始末させてもう」
「嫌だけど」
刃と刃が交錯し､破壊と創造が鬩ぎ合う｡
「お前の生み出すものなど!我がキラークイーンの前では無力に等しい!」
「あら!本当にそうかしらん!!」
砂は草木に変わり､その一部が時たま爆発を起こす｡
なぎ倒される｡吉良当人の体に巻きつこうとする｡
「貴方の刃も素敵ね」
「貴様の刃など叩き切ってくれるわ」
統率のとれた刃達が､煌めく刃に向かっていっては切断される｡
デアの身を､煌めく刃は容赦なく狙う｡
カーズにはデアの刃が見えている｡
刃はスタンドか､それとも刃を作り出す能力か｡
「そろそろ終わりにしようか…」
私は鞭を砂に叩き付け､巻き上げる｡
それを蔓に変えて素早く吉良の足元へ｡
そして波紋を＿｡
「させない」
驚く程に低い声が後ろからした｡
「へ?」
足元の砂の感覚はなくなり､代わりに浮遊感が｡
吉良が私の後ろを凝視して固まっている｡
「ソレ｡折角見つけたんだから壊しちゃやァよ」
落下する中､デアの声が響いた｡
「私のナイフはなんでも切れちゃう｡…空間だって切れちゃうの」
闇の中､私は落ちていく｡
吉良も一緒に落ちた気がするが､どこに居るのやら｡
私は落ちていく中､このまま某神獣よろしく地獄まで行くのは一寸なァ等と割りと呑気していた｡
「てか何コレぇー何処まで落ちるわけぇー」
若しかしたらトリップ終了したりして｡
そして目覚めたら元の世界とか?
うわぁ､ヤダー｡
てか中途半端ー｡
どうせなら世界救ってからの方が寝覚めがいいよねー｡
どうせ夢ならねー｡
ドスン｡
腰に来る衝撃と共に頭の中に白猫の声が響いた｡
『だから夢じゃないってば』
第20話「真逆の路地裏」→←第18話「お楽しみはこれからなのよ」
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作者名：夢書き | 作成日時：2019年1月4日 10時
