第15話「転換は唐突に」 ページ15
「ジョジョ同様悪運が強いな、小娘」
カーズが腕の刃を仕舞う。
カーズの戦いぶりは正に鬼神の如くだった。
私はそれに巻き込まれないように立ち回ったので通常の吸血鬼との戦いより疲れた気がする。
そりゃあスタンドも使ってたけどさ。
だって鞭切断とかヤバイじゃん。
勿論、肉体の方も気をつけてたけど。
鞭の切断は死活問題じゃん。
勿論、肉体もだけどさ…(肉体は波紋流したスタンドでフルガードしてたからあまり問題ない)。
やっぱり波紋の戦闘には鞭の方がしっくりくる。
ずっと鞭を握っていたので右手が熱い。
少しだけ手袋を外す事にした。
「…波紋戦士と共闘する事になろうとは夢にも思わなんだ」
「私だって、柱の男と共闘する事になろうとは夢にも思わなかったよ」
ずかずかと先を行くカーズの後をひょこひょこついて行く。
「…カーズはその金髪の娘とはどんな関係なの」
なんというか、カーズの態度には執着を感じる。
何故執拗にその娘を殺そうとするのか。
そしてその娘の狙いはなんなのか。
私は早くここから出なければならない。
狭間だか何だか知らないが、私はやらなければならない事が溢れ返っているのだ。
ここから出る為にも、その為の情報は集めておくにこしたことはない。
「これはゲームだと娘は言っていた」
「…え…あ、ああゲーム?」
大分間を置いてからの返事に声が裏返る。
だがカーズは気にすることなく続ける。
「俺は気付いた時にはここに居たのだ。そして金髪の娘が立っていた。「終幕の為の余興」のゲームに参加しろと訳の分からぬ事を吐かしながらな」
確かに訳が分からない。
いや、というか。
それよりも__。
この状況を鵜呑みして更に分析し始めてるあたり、もう私は意味不明な展開に慣れてしまってるのか。
「小娘」
客観的に見た自分にううんと唸っていると。
こちらを振り向いたカーズが片手で私の頭を鷲掴みにしてきた。
思わず息を呑む。
それほど油断していたわけではないが、これはまずいんじゃあないだろうか。
処される?私処されるの?
「…ッ」
内心ひたすら焦っていると。
「コレもスタンド能力というやつか」
カーズがグイと私の頭を下げ、強制的に地面を見せた。
「!?」
やばい。
このままだと本当に脳内処理が追い付かない気がする。
色々情報が多すぎる。
「う…海…」
小さな波が私とカーズの足を軽く打ち付ける。
石畳は砂へ。
広がるのは果てない空と果てない海。
夜の色をした2つの境界はあまりにも鈍い。
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時