第2話「猫と話をしてみませう」 ページ2
彼はどんな顔をしていただろうか。
忘れる筈がないのに_今は思い出せない。
私は潮風を浴びながら後ろを振り返った。
「面会出来ないってどうゆうことだよ…しかも、本当に身内かとか疑いやがって…これでも身内だよ!遠縁だけどなッ!」
乱雑に色素の薄い遮光眼鏡を取って、今しがた追い出された刑務所を見る。
「徐倫…」
ふと、幼い頃の彼女の姿が脳裏を過ぎった。
あれから月日が経ち、彼女はもう青年の齢だ。
2012年12月22日。
私はグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所を訪れた。
だが、門前払いを喰らってしまった。
何だかんだと理由をつけて面会謝絶。
しまいにゃ訴えるぞ、あの署長。
若しくはあの手に嵌めたぬいぐるみを本物の鰐にしてやろうか。
私は苛立ち乍も取り敢えず、街の方へ。
「…にしても」
私は空を見上げた。
さり気なく、肩に手を触れる。
_刑務所内で感じたあの気配。2つ目の_あの気配は。
真逆、徐倫以外にジョースターの血族があそこに?
私はそこまで考えて頭を振った。
「考えすぎか…」
「何が考えすぎなんだい?」
誰かが私の横に立って話し掛けてきた。
「いや…何でも…な…」
そのまま横を向く。
何もない。
目線を下ろしていく。
_声の主を見て瞬間的に身構えた。
「心配は要らないよ。僕は君の敵じゃない」
「それをどう確認しろと?」
腰につけたホルダーから鞭を取り出そうとする。
「危害を加えようとしてるのなら、こんなに流暢に喋ってはいないし、その前に君を攻撃してるよ」
「それも…そうだけどさぁ」
どう考えたって警戒する。
私は今、そういう状況なのだ。
たとえ_。
たとえ目の前に喋る猫が居たとしても。
「今、私の夢が1つ叶ったとこだけど。だからといって警戒しない訳にはいかない」
私は喋る猫とお話するのが夢の一つだった。
それが真逆の展開で叶うとは。
「えぇ…この展開は喜んでくれると思ったのにぃ。個人的なお詫びも兼ねてるんだよぉー」
「お詫び?」
「そうそう。お詫び」
だって僕は_と猫が何か言いかけた時。
向かい側の店のショウウィンドウがド派手に割れた。
猫が_あ、やべッ_と言うのとほぼ同時に_。
中から。
「やだァ〜シケてる店よねぇ!ダッサイ品揃えだし!気は利かないしぃー!」
割とふりふりの格好をした_おと、いやおん_どっちだ?
「でもさぁ…立地だけは褒めてあ·げ·る。だってイイ眺めしてるもの…」
高い可愛らしい声が私の方へ向けられる。
「丁度…「ジョースター」が、よォッく…見えるッ!!」
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作者名:夢書き | 作成日時:2019年1月4日 10時