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『お待たせいたしました。イチゴミルクドーナツとキャラメルラテです。』
慎重にカウンター席に品物を置く
窓ガラスの景色から目を離した彼はありがとです、と何とも言えない敬語を使ってドーナツが入った皿を取る
『ごゆっくり』
そのまま向きを変えて戻ろうとしたが、一体彼は何を見ていたんだろうと気になりチラッと窓の奥を見た
窓から見える景色は様々だった
色がバラバラなレンガでできた歩道、数匹の鳥、群青色の青空、向かいのアンティークな雑貨屋、仲の良さそうな息子と父親が歩いている姿
私には彼がその中のどれを見ていたのか、知るよしもなかった
いや、景色を見ていたんじゃなくて考え事をしていたのか
・
「あの?」
すぐ近くから聞こえた声にハッとした
その声の主を見ると、大きい瞳で私をのぞきこみ、不思議そうにこちらを見ていた
その手には食べかけのイチゴミルクドーナツがある
『あぁ、すみません』
棒のようにつっ立っていた私を不思議に思ったのだろう
「……大丈夫です?」
他人に心配され、少し恥ずかしく思っ
た
『大丈夫です。…すみません』
再び彼に謝ると逃げ去るようにその場から立ち去った
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yui(プロフ) - 文も読みやすくて面白いです。続きをぜひ待ってます! (2018年11月26日 1時) (レス) id: 2a71d88e3d (このIDを非表示/違反報告)
リヴ華 - えっ!ありがとうございます!!この作品を更新しようか停止しようか悩んでいたんですが、応援してくれる人がいるなら頑張ってみたいと思います (2018年10月26日 18時) (レス) id: 49646591f3 (このIDを非表示/違反報告)
細胞 - この作品好きです!更新頑張ってください! (2018年10月10日 21時) (レス) id: e784bcfcdd (このIDを非表示/違反報告)
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