赤い頭巾 ページ8
『ぁ…あぁ…』
横たわった馬車の下敷きになった商人は、ぴくりとも動かず、血を流していて、奥様にとって、その光景はあまりにも残酷なものでした。
そして、自身の肩を抱く、誰かの手も。
「罠を仕掛けておいたんですが、Aさんが引っ掛からなくてよかったです、馬用なので、人がかかったら足なんて簡単になくなりますからね」
「そいつ、まだ生きとるんちゃう」
「馬は即死でしょうけどね、運良く衝撃が和らいだんでしょうね」
「さっさと殺そうや、そいつ、Aに触った」
「…へえ、それは、粛清ですかね」
お二人共、とてもお怒りだったそうです。
そりゃそうです、愛しき恋人が、誰とも知らぬ男に気安く触れられていたのですから。
お二人の気持ちはよくわかります、ええ、本当に！
「さて、と…Aさん」
『っ、ひ…！』
「家から出たことも、村に行ったことも、街に行こうとしたことも、他の男の手を取ったことも、机の上のバッジを一つ盗んだことも、全て許します」
『…や、やめて…お願い、離して…』
「何せ、私は貴女を愛しています、永遠に、この森に閉じ込めてしまいたいくらいには」
「エミさん、それ抜け駆けちゃうか」
「何です、いつも抜け駆けするのはゾムさんの方でしょう、偶には私も遊ばせてくださいよ」
奥様は、その時、きっと大変混乱していたのだと思います。
馬車が転倒し、人の死を目の当たりにして、心の整理がついていなかったのでしょう。
その為に、お二人の言葉も、少し解釈違いに受け取られてしまったのだと思います。
「…どういうつもりや、A」
きっと、家に置いてあった武器の中から拝借したのでしょう、奥様の手には、銃が握られており、その口は、確かにお二方に向いておりました。
ゾム様は、叱るように、ですが優しく宥めるように、奥様にお声をかけます。
ですが、仕方ありません、奥様は少し混乱しているのです。
『…馬車を襲っていたのは、二人なの…？』
「せやで」
『どうして…？ゾムほどの狩人なら、食料にだって困ることはなかったでしょう…狩りができなくても、エーミールの給料なら、生活に困ることはなかったはず…馬車を襲う理由が見当たらないわ…』
「何や、理由が知りたいん？それなら、わざわざ銃で脅さんくても教えたるのに」
震える奥様を落ち着かせるように、ゾム様は奥様の髪を撫で、頬に触れ、囁いたと言います。
「人殺しは楽しいで、お前を抱くのと同じくらい、な」
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
