灰被りの夢 ページ49
「まるで童話のお姫様みたいね！」
夜風に当たる私を見て、楽しそうに叫んだのは、同い年くらいの女の子だった。
まさか、後に使用人として再開するとは思わなかったけれど。
彼女は真紅のドレスが似合う、強気で気高い人だった。
『…ありがとう、貴女も、素敵なドレスね』
「そうでしょう！このドレス、大切な友人に選んで貰ったものなの、友人は白銀のドレスを着ているの、凄く綺麗だったから、きっと貴女も見かけていると思うのだけど」
『……まるで、赤の女王と白の女王ね』
「残念！不思議の国まではあってるけど、私は迷う側の存在よ、何せ、私の名前はアリス・リデルなんだもの！」
その時、とても驚いたのを、今でもよく覚えている。
同じ名前だったのだもの、私の大好きな、不思議な国の案内人である兎が現れるお話の主人公と。
羨ましい、この子は、私なんかとは違って純粋な瞳をしている。
きっと、綺麗な世界を見たことがあるのだと思った。
私の狂気な世界じゃなくて、それこそ、私の望む不思議な国を。
「…貴女、どうしてそんなに綺麗なの？」
『何のこと？』
「だって、酷く悲しそうな顔してるのに、辛そうで苦しそうで、世界に絶望しきった顔なのに、とても綺麗だわ、本当の希望を知っているよう」
『…希望なんて、そんなもの知らないわ』
「私の目に狂いはないわ！貴女、何を待ち望んでいるの？それはきっと素敵なものなんでしょう！」
『…まち、のぞむ…？』
「ええ、あ、わかったわ！恋人かしら？それとも想い人？」
アリスのように、不思議だった。
でたらめを言っているようで、その瞳に疑いも虚偽も偽善も、何もなかった。
まさか、私が本当に、待ち望んでいるというの？
ここに来たのは、愛しき兄との別れを告げる為だというのに？
『私には、そんな資格はないの、ここには、お別れに来たのよ』
「あら、ならやっぱりその人のことが好きなのね」
『…ええ、大好きよ、愛していたの』
「どんな人なの？素敵な人？」
『……兎みたいな人』
「兎…？」
『私の世界の、案内人なの、私の手を、いつも引いてくれた、優しい人なの』
「…」
不思議なものを見たとでもいうかのような彼女の顔に、はっとした。
…未練たらしくて、恥ずかしい。
でも、俯く私を見て、彼女は告げた。
「…貴女の言った通りね」
『…？』
「貴女、まるでアリスだわ」
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
