眠り姫 ページ26
次に奥様が目を覚ましたのは、ふかふかとしたベッドの上、いくつもの顔に囲まれながらでした。
驚き目を見開く奥様に、覗いていた子供達は一斉に、二人の男性の後ろに隠れました。
「よく眠れましたか」
『…はい、お陰様で…わざわざベッドまで貸していただいて、申し訳ないです…神父様でしょうか』
「ええ、細かく言えば枢機卿ですが」
丁寧にお辞儀した枢機卿様を見習ってか、子供達も、おずおずと顔を見せて、お辞儀をします。
微笑ましいその光景に、小さく笑った奥様を見て、子供達は一斉にベッドまで駆け寄りました。
驚く奥様を他所に、子供達は嬉しそうに言います。
「初めまして、女神様！」
「違うわ、ご機嫌ようって言うのよ」
「毎日お祈りを捧げてたの、見ててくれた？」
『…私、女神様なんかじゃないわ、あんなにも綺麗なお方の名を、私が名乗るなんて…』
謙遜し、飛び跳ねる子供達の頭を撫で、宥めるように言う奥様に対して、唖然とした顔で、奥様を見つめる子供達。
そして、当然のことを言うように、こう言いました。
「でも、枢機卿様が言ってたよ、綺麗に笑う人は、心も綺麗な人、心が綺麗な人は、この世界で唯一、神様だけだって」
「お姉さんは女の神様だから、女神様！」
「女神様、私達にもご加護がありますか？」
困惑しながら、枢機卿様に視線で助けを求めた奥様ですが、満足気に微笑む枢機卿様を見て、再度女神ではないと言うのは、なんだか気が引けたそうです。
『…ええ、きっとね、毎日枢機卿様の教えを守り、幸せを望む人に、神はいつだって手を差し伸べてくださるものよ』
その言葉を聞き、嬉しそうに飛び跳ねる子供達を、部屋の外へと誘導した、口の端にばつ印の古傷がある、白い軍服の男性。
ため息を一つ零すと、静かになった部屋の中に、その低い声が響きました。
「俺の名前はひとらんらん、この教会の手伝いをしてる」
「私はオスマンと申します」
『Aと言います、この度は助けていただき、本当にありがとうございました』
「困っている人々に手を差し伸べるのが、我々教会の役目ですから、さて、Aさん、貴女はこれからどちらに？」
『…実は、行く宛がなくて、お金も、ここにくるまでに使い果たしてしまいました』
「それなら、どうぞここにいてください、部屋は余りがありますし、子供達もきっと、貴女がいてくだされば、毎日のお祈りも熱心にやることでしょうから」
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
