マッチの幻想少女 ページ20
「…ごめんなさい、父さん」
「あ？謝れば済むと思ってんのかよ、あのなあ、俺はアレを売って、金と酒と女を持って来いって言ったんだよ、それなのに、なんだ？無い？ふざけんじゃねぇよ！！」
「っ…」
「その目は何だチーノ、お前を育ててやったのはこの俺だぞ？あの女みたいに、お前たちを見捨てず、一緒に暮らしてやってるんだ」
「…」
「…胸糞わりぃ、アレ全部売るまで帰ってくんなクソ餓鬼共！！」
乱暴に閉められた扉。
唖然と、目の前のお二人を見つめる奥様は、やっとのことで静かに呼吸をし始めました。
何が起こったのか、どうしてお二人に怒号が振りかかったのか、あまりにもその答えが残酷で明確であった為に、奥様には、すぐ目の前の出来事が処理できませんでした。
「…あいつに殴られ無い為に、必死に金を集めてた、万引きもしたし、女を攫ってきたこともある、誰かを脅して、金を巻き上げたことだってある」
『っ…』
「…そんな顔せんとってや、何で、あんたがそんな悲しそうなん」
不遇なお二人に同情…いえ、きっと、奥様にもお二人と同じ何か感じるものがあったのでしょう。
…形は違えど、奥様にも誰かに縛られる、自由のない過去がありましたから。
その話は最後に残しておきましょう。
『何で、私のこと、突き出さなかったの』
「…できるわけないやないですか、そんなの」
『どうして？』
「…さあ、なんでやろな」
奥様は、既に、その時悟っていました。
彼らに好意を抱かれていることに。
しかし、過去の恐怖に勝るのは、惹かれ合うほどの共感でしょう。
互いに支え合えたなら、同じ気持ちを理解し合える、この人となら、と。
「A」
『なに？』
「あいつ、死んだ」
「これで、三人で暮らせます」
『…そっか』
死んだ、ではなく、殺した、が正しいことも、奥様は知っていました。
それでも、お二人の手を取り、鉄の匂いがする部屋の中に誘われてしまうくらいに、溺れていました。
「ねえ、Aさん」
『なに？ショッピ君』
「これ」
『…マッチがどうかしたの？』
「幸せな夢を見れる薬があるんです、火をつけて、吸い込むんです」
渡された、葉巻のような何か。
薬と呼ぶにはあまりにもお粗末で、明らかに、合法的なものではありませんでした。
しかし、奥様は、それが罪だと知っていながらも、マッチを擦り、火をつけました。
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
