マッチの幻想少女 ページ19
少し前まで、自身も貧しい暮らしをしていたからでしょう、奥様は、男性の言葉に酷く共感しました。
『…私も、昔は飢餓が当たり前の村で暮らしてた』
「…！」
『村から出ても、結局、逃げてばっかりで、いろんなことがあったけど、ほれに向き合う勇気が、私にはないの、だから』
国が国民を都合が悪いから見捨てるのと同じように、彼らを拒んでしまったことを、奥様は少し後悔していました。
一度、心の底から愛し合ったのです、そう簡単に忘れられるものではありません。
『…だから、貴方は、きっと強い人なのね』
「…俺は、別に、強いわけちゃう、慣れただけや」
『受け入れらることが凄いの、何か、自分にとって不都合なことや、恐ろしい出来事を、貴方も、もう一人の人も、私なんかより、よっぽどしっかりと生きてる』
「…」
がたりと揺れる馬車。
着いた先は、特別賑わっているわけではないですが、貧困街に比べれば十分栄えている街でした。
奥様にとっては見知らぬ土地でありますが、お二人は慣れた足取りで、ある家の前に立ちました。
その顔色は、とても暗くて。
「…しっかりした生き方なんてしてませんよ」
『え…？』
「俺ら二人は、犯罪者ですから」
『はんざ、い…？』
馬車から下りる時、手綱を引いていた方の男性が、わざわざ手を取って、親切にエスコートしてくださりました。
そして、悲しそうに目を伏せて、静かにそうお話ししたかと思うと、もう一人の男性に、渡すように奥様の手を離しました。
「見とればわかるわ、チーノ」
「…後ろ、隠れとき、驚いても、声出したり、後ろから出てきたらあかんで」
『…？』
チーノ様と呼ばれた男性の大きな後ろに隠れると、扉が開く音がしました。
注意された通り、息を殺して隠れている奥様。
建て付けが悪いのか、鳴るのは酷く恐怖を煽るような音ばかりを聞きました。
そして、次に聞こえたのは、鈍い音。
「い゛っ…！」
「ショッピっ…！」
チーノ様の足元に倒れ込む、ショッピ様と呼ばれた男性を見て、奥様はすぐに彼が誰かに殴られたのだと悟りました。
助けようにも、奥様を隠す為に無闇に動けないチーノ様は、ほとんど立ちすくむように動けずいました。
「遅いんだよ帰ってくるのがぁ！！酒は？金は！どこにあるんだ、さっさと出せ！！」
「っ、酒は売ってなかったです、金も、あそこには全然、人がおらんくて、売れなくて…っ、うぐっ…！」
もう一度、鈍い音が響きました。
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
