白雪の姫 ページ16
「A、散歩に行こうや、今日は良い天気やで」
「朝食の準備は俺らでしといたから、偶にはAも、一日ゆっくりしようや」
『…そうね、ありがとう』
翌日、奥様は二人に連れられて、静かな街を歩かれました。
日が昇ったばかりの街は幻想的で、涼しげな風は、ほんのり肌を冷やします。
お二人は、奥様に寄り添い、奥様はその温もりと共に、久しく味わえなかった静けさを堪能しました。
『…何、これ』
お三方が帰宅すると、あら不思議。
あの愚か者達が林檎片手に突っ伏しているではありませんか。
そして、愚者の行いを見て見ぬ振りした、奥様の美貌に嫉妬の念を抱いていた女達も、同じように倒れています。
それを見た奥様、感激のあまり涙をこぼしました。
『何が、何があったの…ねえロボロ、シャオロン！すぐにお医者さんを、ねえ、二人共！』
「そんなんいらへんよ、もう死んでる」
『…どうして、そんなことがわかるの…待って、この子はまだ息があるわ、急げばきっと…！』
「そらあかんわ、さっさと殺さへんと」
『…何、言って…ロボロ、ねえ、そのナイフを下ろして、嫌、嫌よ、こんなの…！』
「ほら、A、危ないから離れとき」
『や、っ、シャオロン離して！ロボロっ、ロボロやめて！ロボロ！』
これこそ正義の断罪でございます。
毒の塗られた林檎、まるでアダムとイブのよう。
死に値する禁忌を侵したのですから、このような結末は当たり前です。
しかし、やはり奥様はお優しい。
心臓を貫かれ、最期に謝罪を述べた愚者に、哀れみの涙を流されるのです。
「泣かんとってや、A、辛かったやろ、あんな奴らに無理矢理されて」
『ど、して…それを…』
「知らんわけがないやろ、そら、最初は嘘やと思いたかったけど、その跡見たら、なあ？」
『いつ、見たの…昨日は、ずっと服で隠してたのに…』
「風呂をちょっと覗いてん、でもまあ、それはあくまで確信を得るためのものやから、気付いたんは、こっち」
『…それ、なに…？』
「見たことないわな、盗聴器ってやつやねん、ずぅっと、Aの服につけといてん」
「こういう事にならん為につけといたんやけど、あんま意味なかったわ」
お二人もお優しい。
奥様をお守りする為に、既に対策を取っていたのです。
お守りできなかったのは、機械があまりにも役立たずだったからですね。
奥様の危機なんですから、自らの意思で爆音の一つや二つ、鳴って見せて欲しいものです。
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馬鹿の者 - 奥様＝廃被り(シンデレラ)兎＝奥様の兄さんと、すると段々、小説の題名の意味が… (2020年7月31日 6時) (
レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - おっふ、考察全部違ったけど、面白いから満足です。あ、皆様廃被り姫を知っていますか？廃被り姫とはシンデレラの事なんですよ、んでこの小説の題名にガラスの靴があるじゃないですか、シンデレラにもあるじゃないですか、もしかしてそれで表現してる？ (2020年7月31日 6時) (レス) id: 37e79557bb (このIDを非表示/違反報告)
ハット(プロフ) - どんどん謎が解けていく、、、！めちゃくちゃ面白いくて、更新が楽しみです(*^^*) (2020年7月28日 18時) (レス) id: c9cf6e7c0b (このIDを非表示/違反報告)
五千時(プロフ) - 馬鹿の者さん» 三度めまして！ここから徐々に真実を出していこうと思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2020年7月24日 13時) (レス) id: 76bb208c06 (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿の者 - メイドの子も怪しくなってきたね、そもそもcnsypでみた幻覚って子供の頃の記憶なのかな？それなら、いやでもう〜ん分からん( ・∇・)(長文連投失礼しました) (2020年7月23日 2時) (レス) id: ee9fba9597 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五千時 | 作成日時：2020年6月30日 3時
