【おそ松さん】ある学生の受難＜3＞【マフィア松】

赤塚区4 ページ34

全員色違いのパーカーを着て、まるで我が家にいるかのように思い思いの時を過ごしている。

これは現実なのだろうか。

「ねービールないのー？今度から買い置きしといてよ。発泡酒はやだよー？あ、あとつまみもよろしく！」

おそ松さん、リモコンでテレビのチャンネルを変えながら言う台詞じゃないし物凄く図々しいと思う。

「ぼくお腹空いたー！」

十四松さんは相変わらず自由すぎると思う。

「フッ…俺は唐揚げがあればいい…」

カラ松さん、それは譲歩したつもりですか揚げ物すごく手間がかかるんですよ。

「いやいくらなんでも図々しすぎるでしょ！Aちゃん、今日はとりあえず何か店屋物取ろうね。」

チョロ松さん、家で店屋物取る気満々な時点でかなり図々しいと思う。

「あ、じゃあ僕お寿司がいいなー。」

トド松さん、店屋物で寿司ってかなり贅沢だし、家のテーブルじゃ寿司七人分も乗らないと思う。

「おれ猫缶買いに行きたい…」

一松さん、ここはペット可だけれども勝手に猫連れ込まないでください。

全員自由すぎて怒りよりも呆れが先に来る。

そんなことよりもまず確認しなければならないことがある。

『あの…なんで皆さん私の家にいるんですか？』

住所が知られているのは分かるし、鍵もピッキングとかコピーを予め作ってあったとか、彼等なら造作もないことだろう。

しかし、契約終了となった今、彼等がここにいる理由が無い。

「俺らもあの仕事終わったら暫くは暇なんだよね〜。あんまり目立ったこと出来ないし？だからこうやって日々ダラダラ過ごそうかなーと思ったわけ。つまりニートだね！」

おそ松さんの言うこと自体はまあわかるが、私の家にいる理由にはなり得ない。

「ダディとマミーも長期で旅行に行ってるから、オレ達を養う人がいないんだ。いい加減、出前にも飽きてしまってな。誰かの手料理が食べたくなったのさ。」

物凄く嫌な予感がする。

「一人暮らししてるなら料理出来るでしょ？俺達の分もついでに作ってよ。」

おそ松さんの言葉にほかの五人もうんうんと頷いている。

とんでもない要求に私の思考は停止した。

「ひたすら遊んで暮らしてぇ！」

「働かない我が人生、セラヴィ！」

「就職？勿論間もなく！」

「もっと蔑んでもいいですよ？」

「一生懸命頑張りマッス！」

「今日は甘えてみてもいい？」

『…帰ってくださぁぁ〜い！！！！』

私の絶叫が狭い1Kの部屋に虚しく響く。

どうやら、私の受難はまだ暫く続くようだ。

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