図書館[2]1 ページ22
『イヤミさん!車出して下さい!!』
私は会場を出てイヤミさんが運転する車に乗り込んだ。
「ちょ、ちょ何ザンスか突然?!パーティーはまだ終わってない筈ザンしょ?!」
慌てて乗り込んできた私にイヤミさんは驚いている。
『少し前、誰か会場を出た人がいませんでした?』
「え…た、確かに誰か一人出てきてタクシーに乗ってったザンスよ。」
案の定、イヤミさんは警備員の男を見ていた。
『その人を追いたいんです。行き先は赤塚大学の図書館。そこに急いで向かって欲しいんです。』
「で、でも勝手なことしたらミーがおそ松達に怒られるザンス!
あの六つ子にはもう逆らいたくないザンスよ…」
イヤミさんは躊躇しているようだ。
心なしか、顔が青ざめているように見える。
『あー…それは私がちゃんとフォローします。私に頼み込まれて仕方なくってことなら、きっと納得して貰えます。急がないと取り返しが付かないことになるんです!お願いします!!』
「あーもう分かったザンス!分かったザンス!!ちゃんと後でフォローしてちょーよ?!」
イヤミさんは渋々ながらも車を出してくれた。
ここで私は、自分が身につけているイヤリングの存在を思い出した。
確か片方はスピーカー、もう片方はカメラが内蔵されていた。
向こうの声は聞こえずとも、私が見聞きしているものは監視しているであろう六つ子の誰かと共有出来ている筈だ。
こういうのに長けているのはチョロ松さんか…トド松さんだろうか。
『…この会話、聞こえてますよね?!今から私は赤塚大学の図書館へ向かいます。目当ての三冊目は、赤塚大学の図書館に寄贈され保管されているそうです。相手は警備員の男性一人。私一人でも大丈夫だとは思いますが、誰か助っ人に来てくれると助かります。お願いします。』
多分これで大丈夫、な筈だ。
ふうと息をつくとバックミラー越しにイヤミさんと目が合った。
そうだ、彼のフォローもしておこう。
『それから…こういう状況なのでイヤミさんのことは責めないであげて下さい。身勝手なことをしてすみません。』
「チミ…何かすごく無謀なことをしようとしてないザンスか…?」
イヤミさんは未だに不安そうにしている。
『無謀かもしれません。…ただ、私の方が他の人よりもリスクが低いので適材でしょう。』
どこか他人事のように話す自分に少し驚く。
私以上に動揺している人がいたら、意外と冷静になれるのかも知れない。
もうすぐ図書館だ。
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紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» ありがとうございます。ラストのオチはかなり早い段階で決めていたので、そう仰って頂き嬉しいです。夢主ちゃんは六つ子に振り回される運命なんだと思います。新連載も予定しておりますので、機会があればお付き合い下さいませ。本当にありがとうございました。 (2018年10月9日 1時) (レス) id: fdc73fc447 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!展開がどうなるんだろう?!と楽しみにしてました!!仕事が終わってもずっといる六つ子と夢主ちゃん...ほんわかが続きそうですねw素敵な作品ありがとうございました! (2018年10月8日 22時) (レス) id: f1c0b03c70 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 紫かぶらさん» いやいや、全然気にしませんよ?!無理しないで紫かぶらさんのペースでふぁいとです!急かす人なんていませんから!ちゃんと読みますよー!更新ファイトです! (2018年4月30日 1時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» 長期間更新していなかったにも関わらずこんな優しいコメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので、また読んで頂けたら嬉しいです。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: d7e8ff9b83 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です!待ってました!展開がすごい気になります!こうしんがんばってくださいー! (2018年4月28日 21時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫かぶら | 作成日時:2016年10月7日 1時