パーティー会場6 ページ20
『あれ…警備員さん…??』
間違いない。
彼は、図書館のセキュリティが強化されてから立つようになった警備員だ。
しかし、何故こんな所にいるのだろうか。
一瞬仕事かと思ったが、彼は礼服姿だ。
なぜか挙動不審な印象を受けた。
「彼は確かめたかったんだろうね。」
いつの間にか隣に来ていたウィルバーさんが此方の意図を読み取るように話し始めた。
「僕があの本を回収するつもりがあるのかどうか知りたかったんだろう。」
『え…?』
「この大学に寄贈された本はね、非常に危険なものなんだ。読んで存在を知ることであるものを顕現させられる。だからこそ、寄贈品として誰の目にも触れさせないようにしたんだけど……ああやって厳重保管しておくと、あの本には余程の値打ちがあるという誤解を与えてしまうんだね。」
冷や汗が背中をつうっと伝う。
ウィルバーさんの話すことをこれ以上聞きたくないけれど、そんな意思とは裏腹にどんどん理解は進んでいく。
これ以上、核心に近付くのが怖い。
「面白いことを教えよう。今図書館に保存されている本は、一時期誰かの手によって偽物とすり替えられていた時期があったんだ。僕があの本を回収する気があるのならそれがバレないようにしなければならないし…回収するつもりがなければ、また本をすり替えてトンズラして、密かに仲間を増やしていくだけ。」
仲間を増やすとか意味が分からない部分もあるが、先程のスピーチでは、ウィルバーさんは寄贈した本は友好の証として図書館へ保存しておくことを希望していた。
「彼は、僕が本を持ち出す気が無いと知って、本と共にこの町を去るつもりなんだろうね。そうしたら、きっともう本を探す手懸かりは無くなるだろう。そして、彼のような欲深い人間がどんどん悪の道に落ちていくんだろうね。さ、そろそろあいつを追いかけないと、間に合わなくなるよ?」
ウィルバーさんは何故か少し楽しそうにしている。
こんな事を何故私に話すのだろうか。
何より、ウィルバーさんは何故そんなことを知っているのだろうか。
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紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» ありがとうございます。ラストのオチはかなり早い段階で決めていたので、そう仰って頂き嬉しいです。夢主ちゃんは六つ子に振り回される運命なんだと思います。新連載も予定しておりますので、機会があればお付き合い下さいませ。本当にありがとうございました。 (2018年10月9日 1時) (レス) id: fdc73fc447 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!展開がどうなるんだろう?!と楽しみにしてました!!仕事が終わってもずっといる六つ子と夢主ちゃん...ほんわかが続きそうですねw素敵な作品ありがとうございました! (2018年10月8日 22時) (レス) id: f1c0b03c70 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 紫かぶらさん» いやいや、全然気にしませんよ?!無理しないで紫かぶらさんのペースでふぁいとです!急かす人なんていませんから!ちゃんと読みますよー!更新ファイトです! (2018年4月30日 1時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» 長期間更新していなかったにも関わらずこんな優しいコメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので、また読んで頂けたら嬉しいです。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: d7e8ff9b83 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です!待ってました!展開がすごい気になります!こうしんがんばってくださいー! (2018年4月28日 21時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫かぶら | 作成日時:2016年10月7日 1時