パーティー会場1 ページ15
三冊目の本に関する情報を得てから約一ヶ月後、私はイヤミさんが運転する車でパーティ会場へ向かっていた。
私はこの一ヶ月、いつも通り大学に通う一方で、六つ子達にかなりしっかり稽古をつけてもらった。
今回のパーティにはウィルバーさんとコネを作りたがっている裏社会の人間も参加する可能性が極めて高いからだ。
おそ松さん達はMr.フラッグに頼んで護衛をつけてもらう〜なんて言っていたけれど、それに頼るだけではいけない。
この1ヶ月で実力は大分ついたと思う反面、不安が残っていることも事実だ。
特に実技においては、カラ松さんにもおそ松さんにも一撃を喰らわせることすら出来なかった。
二人とも、「動きは良くなった。」と言ってはくれたけれど、こんな結果では鵜呑みに出来ない。
「それにしても…チミが本当におそ松達と関わりがあるとは思ってもみなかったザンスよ。」
物思いにふけっていると、イヤミさんが声をかけてきた。
「まあ、チミにはチミの事情があるだろうから深くは聞かないザンスが…きっと何とかなると思うザンスよ。」
『え…』
思いもよらぬ言葉に私はどう返事したものかと固まってしまう。
「チミ気付いてないザンスか?随分難しそうな顔をしてたザンスよ。」
私はそう言われて、初めてバックミラー越しに自分の顔を見た。
確かに、ドレス姿には相応しくない強張った顔をしている。
こんな顔では逆に周囲に怪しまれてしまうかもしれない。
「チミはマフィアに連れ去られても助かったザンス。それなら今回もきっと何とかなるザンスよ。」
イヤミさんなりにフォローをしてくれているのだろうか。
確かに、今ここで思い悩んでも事態が好転するわけではないだろう。
ならば、周囲に怪しまれぬよう振る舞う方がより有意義だと思う。
『そう、ですね。…ありがとうございます。』
イヤミさんはそんな私に対し、黙って笑いかけてくれた。
前歯がキラリと光る。
窓からは、パーティ会場となる建物が見えてきていた。
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紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» ありがとうございます。ラストのオチはかなり早い段階で決めていたので、そう仰って頂き嬉しいです。夢主ちゃんは六つ子に振り回される運命なんだと思います。新連載も予定しておりますので、機会があればお付き合い下さいませ。本当にありがとうございました。 (2018年10月9日 1時) (レス) id: fdc73fc447 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!展開がどうなるんだろう?!と楽しみにしてました!!仕事が終わってもずっといる六つ子と夢主ちゃん...ほんわかが続きそうですねw素敵な作品ありがとうございました! (2018年10月8日 22時) (レス) id: f1c0b03c70 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - 紫かぶらさん» いやいや、全然気にしませんよ?!無理しないで紫かぶらさんのペースでふぁいとです!急かす人なんていませんから!ちゃんと読みますよー!更新ファイトです! (2018年4月30日 1時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
紫かぶら(プロフ) - 狐火@リリさん» 長期間更新していなかったにも関わらずこんな優しいコメントありがとうございます。完結に向けて頑張りますので、また読んで頂けたら嬉しいです。 (2018年4月29日 23時) (レス) id: d7e8ff9b83 (このIDを非表示/違反報告)
狐火@リリ(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です!待ってました!展開がすごい気になります!こうしんがんばってくださいー! (2018年4月28日 21時) (レス) id: 7e4f6c9350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫かぶら | 作成日時:2016年10月7日 1時