その瞳に映るのは 2【ハイキュー】 (ページ29)

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『とれた！とれましたー！！』

ドタドタドタバンッ！と部室の部屋が空く
もうその様子に慣れてきた者もいて、またアイツか…と、夜久はため息を吐き、孤爪なんかは、あれか…と察していた。お構いなく部室に侵入したAの手には何枚かのプリントが

「なに、なにがとれたの」

『テスト、全部赤点回避！』

息を切らしながらそういったAのプリントを黒尾が受け取り覗けば、周りもどれどれと集まってくる

「お、数学57点か。生物も62点。山場は超えたな」

「うわ、Aさん英語95点？！現代文も90点だし、世界史も92点だ！」

「すげー文理の差あるけど…おめでとう。」

興味津々に集まってきた部員たち
そして驚愕の高得点に驚く犬岡、夜久
海がよく頑張ったね。とにこやかに笑ってくれ『これも全て海先輩のおかげです！』と涙を浮かべていて、黒尾は、え？俺は？と言う顔をしていた

『研磨、見て見て！』

「さっき見たって…」

教室で散々見せられたあげく、ここでもか。とうるさいAは、床に座っている孤爪の前に手を付き身を乗り出してくる
その顔を見れば、目がキラキラとしていて物欲しそうな表情

「がんばったね。えらい」

『やったぁー！！』

無理やり言わせたようなものだが、孤爪にお褒めの言葉をいただき、舞い上がっている

(単純に褒めて欲しかったんだな…)

(飼い慣らされた犬見てぇ)

(よかったよかった)

3年3人がその様子を見て、苦笑いを浮かべるが、文系は高得点をとっていて、苦手を克服し一生懸命頑張ったAの姿を見て安心した

ドタドタドタバンッ！！

「赤点回避じゃーーー！オラーー！！」

「俺も！！俺もです！！」

またも部室のドアが乱暴に開けられて、次にくる人物を、全員が分かった。、そして続け様にやってきた山本とリエーフの手には解答用紙がある

「お前らもうちょっと静かに」

『わ〜！！私もだよーヤッター！！』

黒尾が注意するもその言葉を遮るようにAは孤爪の横から飛び出して入口にいるリエーフとハイタッチをしてる
Aがいることを目視すると小さくなりハイタッチを強要された山本は控えめに手を差し出した

『虎も頑張ったね！！』

パチンッと手に触れた感触
それは山本にとって初めての感触だった
彼は今生きているのだろうか……その顔は天にも召されそうな表情で唸り声をあげ白目を向いていた

「あっ……はぁ……！うぅっ…」

「ほら、Aも早く着替えてきな」

『はぁーい』

めんどくさい事になる前に、いや既になっているが
そんなことはお構い無しにリエーフと見合っている制服のAを黒尾は背中を押して更衣室へ戻した