【文スト】転生したら最推しに依存された件［R］第二章【太宰治】

第六十五話　奇矯な君 ページ17

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「…だって、私だって自分にとって好きなものを否定されれば嫌な気持ちになる」



前世で同じ文スト好きの友人に太宰さんが好きだと言った時、「えー、太宰さん？何か太宰さんって人気みたいだけど全然好きになる要素が分からない。あれのどこが好きなの？」と言われた事がある。


正直その時ムッとして酷く嫌な気持ちになったのを今でもよく覚えていた。




価値観の差は人それぞれだけれど、相手がそれを好きならばそれを否定するのはお門違いというものだろう。


相手の好きなものを否定するのは、相手を否定する事と同意義だ。






「治くんの自 殺癖だって今の治くんを作った一部だから…だからその自 殺癖を否定してしまえば、治くんそのものを否定してしまう事になる」



私は何があっても、治くんを否定する事だけはしたくない。


治くんを否定するという事は、治くんを大好きな私自身も否定する事と同じだ。




治くんの理解者になれるかと聞かれれば正直分からないと応えるだろう。


けれど少しでも理解してあげたいとは思う。治くんを思う気持ちだけは誰にも負けない自信があった。






「私は、治くんそのものが大好きだから」




真っ直ぐに治くんを見つめて放った言葉は、よくよく考えてみれば少女漫画も吃驚の告白だ。



今更ながらも何だか酷く恥ずかしくなって、思わず頬に熱が集中する。


けれどそれでも、治くんから目を逸らす事だけはしたくなくて治くんの瞳を真っ直ぐに見つめた。



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