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第六十二話 溢れる本音 ページ14

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普段は開かれている水晶玉のように綺麗な瞳が、今は長くしなやかなな睫毛に伏せられている。


安心したように眠るその寝顔は実年齢より幼く、さながら天使のように愛らしい。




そんな姿を堪能しながら頭を撫でる私は、無意識にもゆるゆるになってしまう頬を自覚していた。


レアな治くんの寝顔はとても年相応で、あどけなさを残すその寝顔に私は浸っていた。





もう何でこう治くんって可愛いんだろうか。本当に可愛すぎる。



前世でも私の愛は重すぎるくらいに重かったけれど、治くんの幼なじみになってからはその愛はますます重くなる一方だ。


前世では見る事の出来なかった一面を沢山知って、その度に私はどんどん治くんを好きになっていく。






「ふふっ……可愛いなあ」




思わずそんな声が洩れる。慈愛の満ちたようなその声は、まるで私がお母さんのような立ち位置になった気分にさせた。


けれど治くんは眠っているから、普段言えなかった事は沢山言える。




秀麗なその顔立ちをじっと見つめていた私は、治くんの額に顔を寄せ微かに触れるだけのキスを落とした。



いや、これは最早不可抗力と言えるだろう。こんな可愛くて無防備な治くんを見て我慢できる筈がない。


それにこれくらいなら誰も言わないだろうし、減るものでもないから別に良いだろう。




最後に治くんの髪を優しく撫でた私は、ゆっくりと治くんから離れる。


もうすぐ夕飯の時間だし、治くんが起きる頃には作っておきたい。



そう思って台所に足を踏み出そうとした時、手首を掴まれた。





「…えっ…?」



あまりに予想外な事に私は大きく目を見開かせる。それと同時に手を物凄い力で引っ張られた。




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第六十三話 甘美な寂しさ→←第六十一話 不安と安堵



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葉桜 桜 - 凄く面白いです!1日にリメイク前の物まで読んで、お話が小説の神様みたいです!更新、楽しみに待ってます!! (5月2日 14時) (レス) @page19 id: e6215ef735 (このIDを非表示/違反報告)
わけめ - ついつい一気に読んでしまいました!更新、楽しみに待ってます! (2022年11月19日 23時) (レス) @page19 id: 979aaf8679 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 凄く面白いです! 無理しない程度に頑張ってください! 更新待ってます! (2022年7月14日 15時) (レス) @page19 id: 50f3e04b49 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きを楽しみにしてます!! (2021年5月2日 15時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
はーちゃん - いや、神か?????面白かったです! (2020年11月19日 16時) (レス) id: 3ad67a8a12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年7月21日 17時

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