第四十六話 闇を纏う少年 ページ47
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反射的に避けたのは良いものの、頭は全く状況整理が追いついていない。
いやもう驚きすぎて心臓がバックンバックン音を立てているよ。
そして今確信したけど矢っ張り芥川くんは居たようだ。そして今の攻撃も彼だろう。
「…貴様は誰だ」
低く重苦しい声色で放たれたその声は、いつもアニメで聞いていたよりは高く幼い。
でも確かに、この時の芥川くんは14歳くらいだったもんね。まだ幼い時だ。
どうせなら銀ちゃんと会いたいなあ。
私の最推しは確かに治くんだけれど、私は基本箱推しだったから芥川くんも銀ちゃんも好きだし、普通に皆好きだ。
皆それぞれの個性と魅力を持っていて、嫌いなキャラなんて居なかったし。
芥川くんの後ろで蠢いているのは、恐らく異能力である『羅生門』だろう。
殺戮に特化した頗る残忍な力を持つ異能力。けれど実際見ると、何だか手懐けられた動物感があって可愛く見えてしまった。
一応私攻撃されたんだけどね。掠めた頬が痛いし。
とはいえ、私は芥川くんと争う為に此処に来た訳じゃない。
仲良くなりたくて来たんだ。
「私は天腥A。貴方は芥川龍之介くんだよね?」
柔らかく微笑んで自己紹介した私に、芥川くんは大きく目を見開かせて動揺を露にする。
不思議に思って首を傾げていれば、芥川くんがまじまじと私を見た。
そして長い沈黙の後ゆっくりと口を開く。
「……貴様が、太宰さんの…」
「…えっ…?」
声が小さくてよく聞こえなかったけれど、今確かに“太宰さん”という単語が聞こえた。
という事は私の事を知っているのだろうか。
まあ確かに、『太宰さん大好き人間』という称号を与えられる程に治くんを慕っている芥川くんが、その幼なじみである私を知らない筈がない。
でもそれなら、同じ治くんという共通点を持っている者同士仲良くなれるんじゃないだろうか。
と呑気にそんな事を思っていた数秒前の私を呪いたい。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - I am gotさん» コメントありがとうございます!神作だなんて…!!(泣)こんな作者の作品を好いて下さり本当に有難うございます!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年7月21日 14時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
I am got(プロフ) - ヤバイ。神作。めっちゃ好きです!!続編楽しみにしてます!! (2019年7月21日 14時) (レス) id: dd6540e082 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 結月さん» コメントありがとうございます!沢山妄想しちゃって下さい!(笑)更新頑張ります! (2019年7月18日 10時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 今日も今日とて妄想させて頂いてます!更新待ってます (2019年7月18日 10時) (レス) id: 013547788b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年7月14日 16時