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第二十一話 安心感 ページ22

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治くんはたまに子供みたいな事を云う。


いや、普段も子供っぽいんだけど、何と云うべきか、どこか縋るように云うのだ。


不安感とか孤独感に苛まれて、私がいつか自分の元から離れていくんじゃないかと恐れている。



特にこんな物騒な裏社会だ。


明日も生きられるなんて保障は何処にもなくて、私達は常に死と隣り合わせに生きている。だから余計なのかもしれない。



もし私が死んでしまったら、きっと治くんは壊れてしまうんだろう。


だからこそというのもあって、私は治くんを置いていかない為にも絶対に死ぬ訳にはいかなかった。




そんな治くんを安心させるべく、私は包み込むように抱き締めて上げる。


優しく頭を撫でて上げれば、治くんは気持ち良さそうに目を細めてより一層強く抱き締めてきた。




「…Aは温かくて、一緒に居るとひどく安心する」



穏やかな声色でそう云った治くんは、私の首筋に顔を埋める。


それが微笑ましく感じて、私は頬を緩め自然と笑みを溢していた。




治くんは私に依存しきっている。そうさせてしまったのは紛れもない私のせいだ。


本来なら治くんの為にも突き放すべきなのかもしれないけど、それをしたら治くんがどうなるかくらい分からない訳でもない。




どれだけ治くんを傷つけてしまうのだろうか。



それを考えたら、突き放すなんて事は到底出来なかった。



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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月10日 19時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - I am gotさん» コメントありがとうございます!神作だなんて…!!(泣)こんな作者の作品を好いて下さり本当に有難うございます!これからも頑張らせて頂きますね! (2019年7月21日 14時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
I am got(プロフ) - ヤバイ。神作。めっちゃ好きです!!続編楽しみにしてます!! (2019年7月21日 14時) (レス) id: dd6540e082 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬月鏡(プロフ) - 結月さん» コメントありがとうございます!沢山妄想しちゃって下さい!(笑)更新頑張ります! (2019年7月18日 10時) (レス) id: 6aa236e388 (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 今日も今日とて妄想させて頂いてます!更新待ってます (2019年7月18日 10時) (レス) id: 013547788b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水瀬月鏡 x他1人 | 作成日時:2019年7月14日 16時

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