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病弱と推理:江戸川乱歩 ページ6

──私はなにも、知らない──

物心ついた時から病院に通っていました。
外の世界も、誰かと接する勇気も、私には判らなかった。


貴方に逢えたあの日から、そんな始発点からやっと一歩進めた気がしたけど────────



『全てを知ることは出来ない。』

*****



カーテンが靡き、梅の薫りが微かに薫る、病院の一室。
何年も前から其のベッドで過ごす少女は本好きなようで、今も長い睫毛を伏せて小説を読んでいる。



ガラガラ

「A!今日も来てあげたよ!!」
「⁉・・・乱歩さん、部屋に入る前はノックしてください。」


緩やかな時間を過ごして居たものだから、突然の来訪者に吃驚して肩をびくつかせた。そしてまた本に目を戻す。

 


「ホントに好きなんだねェ。其。僕が来てあげたって云うのに・・・ま、いいや!僕は今日機嫌がいいからね!なんせ社長に誉められたんだから!!・・・ってー、もう興味位示してよ!!」

「っふふ、ごめんなさい。」

そういって彼女は栞を挟み、本を閉じた。

 

こんな対称的な二人が出逢ったのは三ヶ月前。

*****


寒い。


午前10時頃。私は病院の看護師さんに、『少し散歩して来ます。』とだけ伝えて近くの公園に来ていた。(ホントは敷地内でないといけないが。)


パジャマの上に薄手のカーディガンのみの身体は冷えきっている。
今日は晴れているからといって、少し舐めすぎていたな、うん、寒い。


こうやって、時々病院を抜け出すことが多くなった。
退屈だし、何よりも外の世界を少しでも知りたかった。


キャッチボールをする親子。


砂場でままごとをして遊ぶ、幼き姉妹。


走り回る少年たち。


こんなTHE平和な休日の公園に紛れ込んで子ども達の姿を見つめる私は一歩まちがえれば変質者同然だが。


そうやって、ベンチの上にうずくまっていると



「君、墓迦だねェ。」

なんて声が聞こえてきて。

「え?」

「そう、君だよ、オネエサン。僕の推理からすると君、あの病院から抜けて来たんだろう?」


声のする方を見ると、糸目の青年が私が入院中の病院を指していた。

「・・・」
「きみ、長いこと彼処にいるんだろう?外をよく知らないからこんな寒空の下にそんな薄手で過ごしている。まぁ、何を思って抜けたか知らないけど、早く戻った方が良い、迎えが来る。まっ!僕には関係無いけどねっ!」

「・・・あなたは」



「僕?僕は江戸川乱歩!次期に日本中が僕の名前を知ることになる。」

病弱と推理二頁目→←入水(了)batend


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 短編集 , 選択   
作品ジャンル:恋愛
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蘭時*** - カカオ100%さん» いえいえいえ!!コメントは凄く励みに成ります!ありがとうございます!!こちらこそよろしくお願いします! (2018年3月29日 19時) (レス) id: ca7402d5b0 (このIDを非表示/違反報告)
カカオ100% - 面白いです!リクエストじゃなくてすみません・・・これからもよろしくお願いします! (2018年3月29日 15時) (レス) id: 42068d009d (このIDを非表示/違反報告)
蘭時*** - 夏姫さん» リクエストありがとうございます!太宰さんが嫉妬するという素晴らしい設定まで...。1週間後に公開致します。 (2018年3月21日 18時) (レス) id: ca7402d5b0 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - 主も弟と同じ異能力なので久と手を繋いでも無効化するので問題ない中也からも~姐さんと尊敬されてる少し違うのは頭脳体術のどちらも出来ると言う事太宰探偵社主ポートマフィア太宰と敦が依頼から帰りに主達に会うお願いします (2018年3月21日 10時) (レス) id: d39e30b99f (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - 蘭時***さん» リクお願いします。太宰の姉紅葉乱歩と同じ年幹部主は実の弟より久の事を可愛がってる久も主に懐いてるなので太宰は姉を取られて嫉妬する (2018年3月21日 10時) (レス) id: d39e30b99f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘭時*** | 作成日時:2018年3月20日 2時

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