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5.手前にとって"妹"って何だ? ページ6

医務室を出て廊下を歩いていると、前の方にいけ好かねぇ野郎が突っ立っていた。

待ち伏せかよ…気色悪いな。

距離を開けて立ち止まると、ご丁寧に数歩だけ詰めて来やがった。

「中也…あの子を甘やかすな」

「はァ?何でだよ」

手前、あんなに慎重に運んでたじゃねぇか。

今の此奴からは感情が読み取れない。

だが、怒っているようで怒っていないのは判る。

「何でって…すぐに調子に乗って、後々面倒だからさ」

頭を掻きながら溜息と共に吐き捨てた声はひやりとしている。

大事なのか否かあやふやだな。

ハッキリ区別できねぇなんざ、らしくねぇな。

「そんな育て方じゃ、いつか自ら突撃隊にでも入ってそうだな。善いのか?自分の妹だろうが」

俺の言葉に目を細めた。

今、どんな感情だ?

そんな事聞けるわけがねぇ…此奴の深く暗い心情に入り込む気は無ェ。

「いいのだよ、これで…」

一瞬だけ太宰の本心が見えた気がした。

太宰、本当はやりたくねぇんだろ?

口に出したつもりは無かった。

太宰は徐々に目を見開いていき、俺を凝視した。

「な…に…中也、私が何だって…?」

自分の事すら判ってねぇのか、此奴…。

「だから手前が…」

「いや、矢っ張りいい…。あの子はあの育て方でいいのだよ。いずれ……突撃隊に入るのだから」

目を伏せて独り言のように呟いた。

彼奴、囮に使われんのか。

「手前はそれで良いのかよ。妹だろ?何も思わねぇのか」

「思わないねェ…だから首領の頼みを聞き入れて、こうやって躾ているのだよ。でなければ…」

そこで言葉を区切る太宰を急かすが、何でもないと云って俺の横を通り過ぎた。

「まァそういう訳で、中也も協力するように」

「へいへい…」

手をひらひらさせながら去っていく太宰の背を見送る前に、俺も歩き出した。

そういう事なら、俺だって容赦はしねぇ。

彼奴が泣こうが喚こうが…絶対にな…。


青鯖の顔が後悔と罪悪感、絶望で塗り潰される時が待ち遠しいな……。


*〜*〜*〜*〜*
3/2(金)

明日は遂に上映されますね!

私も観に行く心算です( ˇωˇ )

なので、明日は更新をお休みさせて頂きます。

明後日には更新を開始しますので、それまでお待ち下さい!

楽しみですねぇ〜(*´д`*)

6.私に逆らうな※暴力→←4.兄さんの相棒…



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オタクなめんな - すっごく面白かったです。映画でも見ているよな感じでした。 (2018年8月15日 3時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - ゆきみだいふくさん» 有難う御座います!喜んで貰えたようでこちらも嬉しいです! (2018年3月26日 19時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 完結ですね!おめでとうございます!!大好きな太宰さんの色々な面が見られて嬉しかったです! (2018年3月26日 18時) (レス) id: 5f17ef063a (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - きのさん» 良かったですw私的には成功です! (2018年3月26日 16時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 泣ける (2018年3月26日 12時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:入浴 | 作成日時:2018年2月26日 16時

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