同僚のデレがいくら何でも過ぎると思う【文豪ストレイドッグス】

46話 ページ7

Aside








「“神威”の正体は＿＿＿＿≪猟犬≫隊長、福地桜痴です」






神威の正体は、《猟犬》隊長、福地、桜痴。





安吾が云ったその言葉を、ゆっくりと嚙み締めた。






驚かなかった。
何故なら私は、知っていたから(・・・・・・)＿＿＿




あの時、あの場所。
隊長がその正体を明かしたあの時。




私は、あの船に居た。









＿＿＿数日前







『うーわ、めっちゃ不気味じゃんか……何でこんなとこ指定したんだよ』





あるメールで示された場所に、私は居た。






数時間前、私の仕事用のパソコンに届いた一通のメール。





＜他ノ誰ニモ知ラセルナ コノ時間ニ此処デ待ツ＞




その文章と共に添付された地図を頼りに来たのはいいが、何とも言えない不気味さに息をつく。
目の前にそびえ立つ洋館＿＿＿詳しくはその残骸＿＿＿は、どこか見覚えがあるような気さえする。




無駄に広い庭、無駄に広かったであろう洋館。庭は勿論手入れされていないので、蔦が伸び放題である。




その庭の一角にあるのは……神社、か？
何故、こんなにも洋風の建物に神社が、しかも洋館と比べてあんなにも綺麗に＿＿＿







「それはね、君が破壊しなかったからだよ＿＿＿”四十四院(つるし)A”」



『＿＿＿っ！？』






耳元すぐ近くで、男の声がした。



ああ、知っている。
かつての私の名前を呼んだこの男は＿＿＿




深碧の瞳をしたこの男こそ、江戸川乱歩。

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