陸拾肆:過保護なまでの愛情 ページ18
五条side
「"帰らせてください"」
久しぶりに聞いた第一声は、突拍子も無い言葉だった。
「駄目だって〜、憂太はそっちでやることがあるでしょ?」
「"彼の呪力が消えかかってるんです。きっと何かあったに違いない、帰らせてください"」
「だーめ!先生が許しません〜!」
いつもより低い声が電話越しに聞こえる。僕の言葉に唸るようにして声を漏らす憂太に、小さく溜息をついた。
「大丈夫だよ。実は簡単には死なないし、憂太が贈った指輪があるじゃない。たぁっぷりと
「"駄目です。あれに込めた里香ちゃんの呪力は半分以下なんです。反転術式込みでも徹底的に倒すことが出来ない。僕がすぐ戻って彼に近づく敵を殺してあげないと…"」
「まぁまぁ落ち着いて。憂太はすぐ実のことになると熱くなるんだから…」
気持ちは分かるし、憂太が電話してくるなんて相当だと思うよ?でも、簡単に帰って来いなんて言える立場でもないんだよね、悔しいことに。
「君達三人が仲良しさんなのは昔から知ってるけど、すぐに守ってちゃあ実だって成長しないでしょ?そりゃあ憂太が居れば実だってほぼ無傷だろうけどさ、その分強くならないだろ?放置だって一つの愛だよ」
「"何で放置しなきゃいけないんですか傍でずっと守った方がいいでしょ"」
「憂太、憂太、落ち着いて」
駄目だこれ。軽く
「心配しなくてもこっちに戻ってくるよ。怪我してたって、硝子が居る限り死亡はありえない。…現場で死なない限りね」
落ち着いて話すと、憂太も少し落ち着いてきたのか声がいつもの調子に戻ってきた。
「"…何かあったらすぐ連絡ください。殺しにいきます"」
「物騒だなぁ!分かったよ、何かあったら絶対に呼ぶ。だから気にせずそっちのことやっちゃってよ」
渋々了承した憂太に別れを告げ、電話を切る。それにしても憂太から電話が来るなんてね…
「本当に大丈夫かな、実」
まだ帰ってこない4人を思い出しながら、ポツリと呟いた。
198人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時