身も心も僕のものに決まってるだろ【放浪者】 ページ44
ツヴェートside
気がついたら、拠点のベッドの上に寝転がっていた。
身を起こせば胸元の傷はしっかりと手当てがされていて、きちんと着せられた黒い服の上から胸を押さえていると、ふと隣に気配がした。
『……スカラマシュ…』
「やぁ、おはよう。僕を待たせるなんて良い度胸してるじゃないか」
パタンと本が閉じる。彼は椅子に座ったまま俺を見てニコリと笑った。
『…助けてくれたのか?』
「まぁね。執行官の癖に無様に手傷を負って帰ってきた…なんて君の部下から聞いたものだから、治療がてら君の痴態でも見ようと思って」
『……君って本当にいい性格してるよ』
……そっか。助けてくれたのか。
『ありがとう、スカラマシュ』
昔の俺だったら絶対に言わなかっただろう。でも今は違う。
君が俺に、感情と言うものを教えてくれたからね。未だに人間らしさってのを模索したりするけど、これでも充分マシになった方だろう?
「……別に、大した事はしてないし」
プイッと顔を逸らした彼が小さく呟く。少しだけ耳が赤いのは…秘密にしておこう。
「……あの、さ」
『ん?』
毛布を畳んでベッドから抜け出すと、不意に彼が俺の方を見て、遠慮がちに訊いてきた。
「もし僕が君みたいに執行官として存在していたら………、……君は、今みたいに仲良くしてくれるかい…?」
……そうだなぁ……。
『君の態度にもよるけど……きっと仲良くしていると思うよ』
俺は今みたいに人間らしくないだろうけどね。任務を遂行する機械人形に君が興味を持って、寄り添ってくれると言うのなら。
『だって俺達、同じような奴らじゃないか』
同じ造られた者同士、仲良くなれると思うよ?俺はね。
「……あっそ」
なんだいその態度……。訊いてきたのはそっちじゃないか……。……あれ。
『(何だ、この気持ち)』
何だか胸がスッと満たされた気がする。何だこれ……?
「……ま、僕が執行官だったらきっと君の席は無いだろうけどね」
『……!へぇ〜……?言ってくれるじゃないか。なら今此処でどちらが上か、勝負してみるかい?』
「僕は別に構わないけど、君が負けたら執行官失格って事でいいね?」
『絶対に負けないから安心してくれ』
「……ツヴェート」
『はいはい、次は何__』
顔を上げると、スカラマシュの顔が近づいていた。そして、
とても優しく唇が触れ合って、綺麗な青紫の瞳が俺を見ていて、
「君は、僕のだ。身も心も、ずっとね」
そう呟いた彼は、とても幸せそうに微笑んだ。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時