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身も心も僕のものに決まってるだろ【放浪者】 ページ42

「何だコイツ、突然倒れたぞ」

雪の中に倒れる橙色が新雪に埋もれていく。黒の衣服に身を包んだ青年を囲むように近づいた宝盗団の男達は、分厚い靴で覆われた足で青年の肩を軽く蹴った。
動きはするが反応は無い。肉が動いただけだと認識すると同時に、男達の頭に"コイツは意識を失っている"という情報が舞い込んだ。

「何だよ…ビビらせやがって」
「どうするよコイツ。拠点に戻って遊んでやるか?」
「それも良いんじゃねぇか?顔は良さげだったし。俺はパスだけどなそんなやべぇ奴」

男達がヤイヤイと言い合う間も、青年はゆっくりと雪に隠されていく。男の一人が埒の明かぬ話に終止符を打つように溜息を一つ吐き出すと、そのまま青年の腕を掴んで仰向けに転がした。

「…!おいおい、コイツ心臓突かれてんぞ…!?」
「マジかよ…!……うへぇ……本当だ。バケモンだな」
「執行官ってのはどいつもこんな奴らばっかりなのかよ……気色悪ぃな」

胸に空いた傷口は赤黒く衣服を濡らして固まっている。男達は普通であれば死に至っているであろう傷を受けても尚立っていた青年に対し、嫌悪と恐怖、困惑、そして畏怖の念を抱きながらロープを取り出した。

「とりあえず縛って連れてこうぜ。もしかしたら執行官の身柄を餌にファデュイを揺さぶれるかもしれないぞ?」
「おっ、そりゃあウマいな!」

人間は欲を前に出されるとすぐに阿呆になる。目先の欲は危険を隠し錯覚させる。


だから"僕"に気づかないんだよ。間抜け。


『____触るな』

男が青年に触れようとした、その刹那。男の腕は青年に触れる寸前で止められた。
驚愕の表情を浮かべる男の瞳には、雷元素の印を宿した2つの紫の瞳があった。そのどちらもが、男を射殺さんばかりに見開かれている。

『お前達みたいな三下が、僕の所有物に触れると思うな』

雷鳴が響き渡る。青年の体からは紫の閃光が溢れ、胸元に雷元素の印が大きく浮かびあがった。

「コイツ、まだ生きて……っ!」


『恐れずとも、痛みはほんの一瞬だ』


紫の雷が満ちていく。青年の口元が薄く笑みに引き伸ばされた瞬間、



雪を貫くような巨大な落雷が、寒空が支配するドラゴンスパインの凍土に降り落ちた。

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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時

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