いつかの夢を見るかの如く【魈】 ページ31
ツヴェートside
自分なんてどうでもいい。代わりなんていくらでも居る。そう思ってずっと生きてきた。
実際俺の代わりなんていくらでも"造る"事が出来るんだ。
何十、何百という"失敗作"を見てきた。そのどれもが俺が生まれ落ちる為の踏み台にしかならなかった。
恨めしそうな目が、妬ましげな目が、無数の死体が俺の背中を睨みつけていた。
俺は運良く"成功例"になれただけ。結局はあの暗い実験室に放り込まれていた失敗作達と同じなんだ。
利用されるだけ利用されて、使い終わったらポイ。それだけの命だとずっと思っている。
それなのに、最近ずっと俺に付き纏ってくる奴が居るんだ。
『…あのさぁ、流石に言わせてもらうけど』
パラパラと瓦礫が崖下に落ちていく。深い崖から落ちかけている身体は、上で俺の服を掴んで引っ張っている者のおかげでこれ以上下に落ちる事は無かった。
『俺が君に嫌がらせしてるって分かってて助けてるだろ』
「それがどうした」
『俺みたいな奴助けても何も出ないから、そろそろ止めたらどうだって話をしてるんだけどなぁ』
ぐんと体が上へと引き上げられる。崖の上に降ろされた俺の前には、小柄ではあるものの凛とした戦士の雰囲気を持つ夜叉の彼が立っていた。
「お前が我を嫌おうと、我はお前を助ける。それがお前と我の間に交わした契の筈だ」
『そんな約束した覚え』
「あるだろう。誰があの場で深淵の魔手に堕ちかけたお前を助けたと思っている」
……はいはい、降参だよ降参。仙人様は本当に鼻が利くんだから。
『はぁ…。全く』
ガシガシと頭を掻いて溜息をつく。そんな俺の様子を見て、彼は「何だ」と腕を組んで顔を顰めた。
『厄介な奴に好かれたなって思ってただけだよ』
そう、厄介な相手なんだよ本当に。だってまさかあの璃月を守り続けている仙人とやらに好かれるなんて思わないじゃないか。
岩神の従者である仙人・魈。それが俺の前に居る奴の名前。
どういう訳か知らないけど、俺はどうやらこの風の夜叉に気に入られてしまったようだ。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時