新芽凍てつく冬の日に【スネージナヤ主人公】 ページ28
生き物は全て、何かしらの使命を成す為に生まれるらしい。
なら俺はきっと、ただ使役される為だけに生まれたのだろう。
『………』
目を開けて見えるのは薄暗い実験室。フラスコの中に満ちる水がコポリと音を立てる中、拘束具の付いたベッドの上に俺は横たわっている。
「気分はどうだ、バランゾーネ」
あぁ、この声はとても嫌なヤツの声だ。
『アンタさえ居なければすこぶる調子が良かったよ』
「そうか。鎮静剤の効果はもう切れたようだが、不調はあるか?」
『別に。前みたいに気持ち悪くもなってないかな』
身を起こして点滴を無造作に抜き取ると、クソ博士は何度も頷きながら手元の用紙に文字を書き込んでいく。
仮面で顔を隠した水色の髪の男。コイツが"俺を造った"ヤツ。
「心拍も正常値。毒血の効果も以前より強まっているな。よし、戻っていいぞ。引き続きドラゴンスパインの調査を怠るなよ」
『はいはい』
言われなくたってサボらないさ。俺は仕事の為に生きてるようなものなんだし。
薄暗い実験室を飛び出すように、俺は上着を手にして部屋を後にした。
俺は人間じゃない。博士によって造られた"クローン"だ。
雪の国のファデュイ執行官、公子・タルタリヤ。手の付けられない戦闘狂を制御する為に"従順な公子"として造られたのが俺。
そう、言ってしまえば俺は都合のいい駒に過ぎない。公子の力が必要な時に呼び出され、使役される。俺は使役される為に生み出されたようなものだ。
『(別に文句なんて無いけどね)』
なら俺は自分の生き方に従うまでだ。こんな性格になってしまったのも、きっとあのクソ博士に"設定"されているからだろうけど。
『はぁーあ………』
ドラゴンスパイン。雪降るこの地に戻った俺は、拠点の椅子に座って深く溜息をついた。
何で毎回毎回定期検診行かないといけないんだ。此処の土地に居れば俺はいつでも万全な状態でいられるってのにさぁ?
『(ホント最悪……)』
どうせ俺も"サンプル"程度にしか思ってないんだろうに。
「浮かない顔してどうしたんだい?」
フッと顔に影がかかる。視線の先に見えるのは、いつの間にか居た小生意気な顔。
『いつものだよいつもの』
「あぁ………博士か。君も大変だな。ご苦労様」
『思ってもない事を言わないでくれるかい?スカラマシュ』
そう悪態をついてやると、彼は嬉しそうに微笑んだ。
スネージナヤ主人公、実装。
嘗ての自分へ、聞こえていますか?【モンド】→←嘘か真か果たしてどちらか【旅人 -空-】
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時