散らばる星はその地で輝く -9-【短編集】

ようこそ、運命の人よ -3-【現パロ・稲妻】 ページ20

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フラッド、劉斗、その名前を見るだけで、寂しくなった。

オレ達5人のうち、2人が行方不明になった。学校に行っても、家に戻っても、聞こえるのは2人の行方を探す話ばかり。
すぐ帰ってくるだろう。そう思っていた。でも2人は帰ってこなかった。ずっと。

〈…………〉

2人も行方不明になって、学校に行くのが辛くなった。最近はずっと部屋に籠ってゲームばかりしている。
いいや、ゲームをしているわけじゃない。ただゲーム内にある2人の名前を見ては、帰ってくる筈もない2人を思い出して憂鬱な気持ちになるだけだ。

〈(何が起こってるんだ………)〉

2人共悩んでいる事も無さそうだった。それに2人共自分の部屋に戻ってから居なくなってるのもおかしい話だ。
誘拐？まさか。部屋に居座ってたとしたら家族だって欺かないと滞在できない筈………。

〈(……考えてたって分からないよな)〉

さらに憂鬱になるだけだと思って、オレはコントローラーを手にしてゲームをすることにした。
操作キャラはトーマだ。オレの最推し。少し根暗で素直じゃないオレからしたら、トーマは憧れの人でもあった。

明るくて、優しくて、頼りになる。そんなトーマが好きになって結構経つ。今じゃ聖遺物も武器もしっかりしたものを揃えて、螺旋やマルチでも大活躍だ。

………トーマなら、こんな時どう思うんだろうな。

〈………ん？〉

あれ、何だ？誰か居る…？
璃月探索をしてたから、今トーマが居る場所は璃月港の広場だ。その広場の前、噴水の奥にある講談が聞ける茶の席に、鍾離とタルタリヤが座っているのが見えた。

そして、その2人に挟まれるように座っている、鍾離に似たキャラクターが居ることにも気づいた。
新キャラ？いいや、公式からはそんな話出てない。


コイツは、誰だ？


…話しかけてみよう。コントローラーを操作してソイツの元に行ったら、フッと名前が表示されて、

〈………え〉

その名前を見て、話しかけた時、心臓が止まるような思いをした。


［劉斗:久しぶりだな、旅人。元気にしていたか］


劉斗………？それって、アイツの……

〈(△△の、プレイヤーネーム………)〉

キャラクターと同じ名前って付けれたっけ？分からない。でも、


何だか怖くなって、すぐにゲームを止めた。

〈…………え？〉

ゲームは終わらなかった。何度やっても"アプリケーションを終了します"の文字が出ない。


画面はいつの間にか、稲妻の城下町に変わっていた。

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