《リクエスト》女の子でも君が好き -5-【鍾離】 ページ14
鍾離side
「っはは、そんな事があったとはな」
込み上げる笑いもそのままに笑みを零せば、目の前の紅玉は不服そうに俺を睨みつけた。
いつもの茶屋で二人静かに茶を嗜む。いつも通りの光景だが…………一点違う所をあげるとするなら、俺の前に居る劉斗が女になっているところだろう。
黒茶の服に包まれた肢体は豊満にして締まっており、体躯も容姿も全てにおいて俺好み。初めて見た時には危うく己の中の本能に負けそうになったぐらいだ。
「しかし奇妙な事もあるものだ。地脈の乱れによる状態異常とは思うんだが……俺ですら明確な原因が分からない事象が起こるとは………」
彼の姿を見ながら考え込むと、劉斗は小さく溜息をついて手にした湯呑みを机に置いた。
『お前でも分からないなら時が経つのを待つしかないな……。すまないが、暫くお前の手を借りるぞ?鍾離』
「あぁ、勿論協力しよう」
手を伸ばして黒茶の髪に触れる。サラリと流れる髪の奥で、真紅がパチリと瞬いた。
『……どうした?』
口元が弧を描く。美しい手が頬に添えられ、微笑を湛える顔は完璧なまでの美を備えていた。
嗚呼、やはりお前はその姿でも美しいな。
「なに、滅多に見られぬ顔を目に焼き付けているだけだ」
『っは、部屋に戻ればいくらでも見れるだろうに……』
「今だからこそ味わえる美もあるだろう?」
こうして外の空気に触れ、陽の光で鮮やかに色づくお前は、此処でしか見れないものだ。
「俺はどんな姿であろうと、お前であれば全てを記憶したいんだ」
そう言うと、劉斗は軽く目を開いた後、『ふん』とそっぽを向いてしまった。
『………恥ずかしいことを言うな……っ』
………!…………っはは。
「(耳まで赤くして………本当に愛らしい……)」
髪の隙間から見える耳は赤く色づいている。小さく漏れた声も覇気が無く消え入りそうなもので、その愛らしさに愛しさが胸いっぱいに込み上げた。
「このまま元に戻らずとも良いのではないか?」
『馬鹿を言うな』
「ははは」
むっとした顔がジトリと俺を睨む中、温かい茶に口を付けて講談を聴き流していく。
いつも通りの時間、いつも通りの日常。その中での些細な違いすらも、きっと遠い先では大切な事柄へと変わるのだろう。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時