《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-4-【アルハイゼン】 ページ9
アルハイゼンside
彼に声をかけようと近づいた時、セノの名前が彼から出た瞬間、「嫌だ」と思った。
彼の口から他の男の名前が出ただけで、激しい嫌悪感が全身を駆け巡った。思わずそのまま腕を掴み、家の中に引きずり込む程には嫌だった。
「……君は」
俺の腕を撫でる手を掴んで、そっと顔を上げる。
肩越しに見える赤い瞳が俺を見つめてくる。それだけで不思議と安心した。
「君は、俺を多少放置しておいても問題無い人間だと思っているだろう」
確かに俺は他者との干渉を率先してする事は無い。正確に言うなら必要最低限の付き合いだけして、それ以外の付き合いはしない。
過干渉でもなく、かと言って放置する訳でもない。面倒が起こらないような顔見知り程度の関係を保っている。それでも君にだけは、面倒が起ころうとも干渉したくなってしまうんだ。
「俺は君が思っている程、淡白な男ではないよ」
君に放って置かれると寂しいんだ。君が他者と話しているとすぐにでも引き剥がしたくなるんだ。
それを一切せずに耐えているのは、本能的に動いても良い事など無いと理解しているからだ。衝動的な行動は時に身を滅ぼす。だが……そう理解していたとしても、君の前ではどんな理論も崩れてしまう。
「俺は君の恋人だろう？俺を置いて他の男と親しくしないでくれ。君を…閉じ込めたくなる」
彼を籠絡する策ならばいくらでも用意できる。それをしないのは、君の意志と自由を尊重しているからだ。君が俺の元に必ず帰ってくると信じているからだ。
指を絡め、手を握る。彼の温かい体温を感じながら「俺も一緒に行く…」と呟くと、彼は小さく肩を揺らして笑った。
「…何がおかしい」
『いいや、君がそんな幼稚な感情を発露するとは思わなくてね』
「それは俺に対する嫌味か？」
『まさか。寧ろ喜んでいるんだよ。君は感情を表に出す事をあまりしないから、こうして妬いてくれて正直嬉しい』
彼が俺の腕をそっと離し、此方に向き直る。ぐしゃりと頭を撫でられると、少しだけヘッドホンがズレた。
「っ！何を…っ」
『砂漠探索、君も同行してくれ。確かにセノとは相性が良いが君ほどじゃない。それに君が居るなら…どんな困難にも立ち向かえそうだ』
……当然だ。
「俺以外に適任な者など居る筈が無いだろう」
俺は君の事をよく理解している。君と一番相性が良いのは俺だ。それ以外は認めない。
「但し砂が入るのは嫌なので短時間で済ませよう」
『君って奴は……』
《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-5-【リオセスリ】→←《リクエスト》誰のものか理解しているのか？-4-【アルハイゼン】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
orchid〜オーキッド〜 - 最高です！かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます！これからの活動もすっごく楽しみにしています！ (12月11日 13時) (
レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは！！天才ですね！！めっちゃうるっと来ましたよ〜！泣 はぁ！今日も頑張れそうです！更新ありがとうございます！これからも頑張ってください！！ずっと応援してます！あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます！もし何か分からないことあったら教えてください！ (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます！書かせて頂きます〜！ (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2023年12月3日 22時
