もしもの話【主人公組】 ページ49
『旅人に尋ねられた事があるんだが』
久々に集まる壺の中。フラッドが机に5人分の飲み物を用意して席につくと、各々好きなことをして時間を潰していた4人が彼へと視線を向けた。
『もし恋人が悪い奴にやられそうになってたらどうする?と聞かれて』
[〈《【殺す】》〉]
『だと思うけどもう少し話をさせてくれないか』
食い気味に答えた4人の顔はそれはもう恐ろしいものだった。しかしフラッドは意に介さずに持ってきた水を飲みながら話を続ける。
『魔物なら跡形も無く殺すだろうけど、相手がもし宝盗団とか人間だった場合はどうする?って話をしてたんだ』
[ふむ、人か…。確かに人相手では軽々と殺すとは言えないな]
劉斗が口元に手を添えて悩み始める。その中で、頬杖をついて手を挙げたのはフウマだった。
〈オレは気にせず丸呑みするけど〉
《そう言えば君は魔神の残滓によって妖魔にされた人間だったな。しかし丸呑みとは一体どうやって行うんだ?君のその口では人間の頭すら口に含めないと思うのだが》
〈オレは一度死んでるからね、この身体の大半は風の元素力で出来てるようなものなんだ。だからオレは小さな子供にも、巨大な蛇にも変身できる。それに人間の肉ってのは妖魔からしたらご馳そ〉
《食べたのか》
〈………あー……ご馳走みたいなものだと聞くし、食べちゃうかもー……ってね〉
《瞳孔の揺れを確認したが、それは動揺した時の動作だと捉えて良いだろうか》
〈アンタってほんと……っ、ズカズカと人の心に入ってくるな…?〉
はは、と目を逸らしたフウマは乾いた笑みを浮かべる。その隣で今度はラヴィーネが口を開いた。
【俺は氷漬けにして、そのまま放置する】
『…随分と優しいじゃないか』
[優しい訳あるか。奴の言う氷漬けは全身を氷に覆って閉じ込めるものだ。その状態で放置されてみろ。助かったとしても低体温症などの身体障害が生じるぞ]
劉斗の言葉にラヴィーネがにっこりと笑う。どうやら笑ってはいるものの、半分本気の言葉のようだった。
そんな彼の笑顔に、フラッドはちょっとだけ顔を青褪めさせた。
『…容赦無いな』
[こんな怪物をよく飼い慣らせたものだ]
【そういう二人は、どうなんだ】
ラヴィーネの問いに、先に劉斗が答えた。
[そうだな……まず鍾離が負ける事など無いと思うのだが]
『〈《【それは本当にそう思う】》〉』
[仲良しか]
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orchid〜オーキッド〜 - 最高です!かなり無茶なリクエストしたのにも関わらずクオリティ高いものを用意して頂いてありがとうございます!これからの活動もすっごく楽しみにしています! (12月11日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
もにもち - ヤァバァイもう天才ですかあなたは!!天才ですね!!めっちゃうるっと来ましたよ〜!泣 はぁ!今日も頑張れそうです!更新ありがとうございます!これからも頑張ってください!!ずっと応援してます!あ、体調には気をつけて。 (12月11日 6時) (レス) @page44 id: 4864a15202 (このIDを非表示/違反報告)
orchid〜オーキッド〜 - 九龍さん» ありがとうございます!もし何か分からないことあったら教えてください! (12月10日 21時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
雷デット - ありがとうございます!! (12月10日 19時) (レス) id: d5e1296c27 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - 雷デットさん» リクエストありがとうございます!書かせて頂きます〜! (12月10日 17時) (レス) id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年12月3日 22時